• 地蔵に変装して区内を駆け抜ける子どもたち=7日、敦賀市赤崎
  • 大日堂で顔にしとぎを塗り、地蔵に変装する児童たち
地蔵に変装して区内を駆け抜ける子どもたち=7日、敦賀市赤崎

 福井県敦賀市赤崎区で室町時代から続くとされる伝統の奇祭「山の神講(かんこ)」が12月7日行われた。上半身裸の男児3人が区内を元気よく走り、山の神様にお供え物を届けた。帰りは顔や体を白く塗り地蔵に変装して再び疾走し、集落の平穏を祈った。

 赤崎には昔、妖怪「ヌエ」がおり、田畑を荒らしていたという。山の神講は村人が神仏に祈祷(きとう)してヌエを退治した伝説が由来とされる。山の神様が「地蔵に化ければヌエが嫌がり近づいてこない」と教えてくれたことから、お礼にお供えしたことで始まったと言われている。集落の平穏や子どもたちの無病息災を願う。

 区内の小学生が大日如来を祭る山ぎわの大日堂まで走り、お供え物を届ける習わし。今年は角鹿小6年から4年の児童3人が参加し、区内の高校生2人がサポートした。

 子どもたちは「力めし」と呼ばれるおにぎりで腹ごしらえ。大将はすりつぶした米とお神酒を混ぜた「しとぎ」を、ほかの2人はわらを編んだ「つと」を持って赤崎区民センターを出発した。

 3人は「やーまのかんこのまーつりやい」「そーりゃ、なーんのまーつりやい」と声を張り上げ、1キロ弱離れた大日堂まで上った。到着すると、お堂内でお供えと参拝を済ませ、真っ白な「しとぎ」を顔や体に塗り、ヌエにいたずらされないよう地蔵に扮(ふん)して赤崎区民センターに戻った。

 沿道では区民が「頑張れ」と拍手で声援を送っていた。来春から中学に上がり、最後の参加となった児童は「しっかり声を出し、集中して走り切れてよかった。行事を毎年続けていくのは大変だけど(区内の)みんなが仲良くなる機会だと思うのでこれからも残していってほしい」と話していた。

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