力強く綱を引く男衆=19日、美浜町日向 

 福井県美浜町日向で400年近く続くとされる水中綱引き(国選択無形民俗文化財)が1月19日、行われた。運河に飛び込んだ鉢巻き姿の男衆が綱を引きちぎり、1年の海上安全と豊漁を祈願した。

 綱は長さ約40メートル、太さ約20センチで、早朝から約4時間かけて編み上げた。午後2時過ぎ、鉢巻きに白い短パン姿の男衆約20人が雄たけびを上げて橋から運河にダイブ。両岸に分かれ「よいしょ!」と威勢のよい掛け声を上げながら綱を引っ張った。5分ほどでちぎれ、観客から拍手が沸き起こった。

 地元青年会の会長は「水は冷たかったけれど、観客の応援が力になった」とすがすがしい表情で話した。

 「わかさ美浜町誌」などによると、水中綱引きの由来は諸説あるが、1635年に小浜藩主の酒井忠勝が村の願い出を受けて日向湖と若狭湾を結ぶ運河を開削し、完成とその後の豊漁を祝って行ったのが始まりとされる。運河に現れた大蛇を退治しようと大綱を張ったという故事に基づくとの説もある。

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