
天然に比べ少し黒っぽい養殖のキダイ(富永特命教授提供)
天然のキダイ(富永特命教授提供)
養殖キダイについて説明する富永特命教授(左端)=16日、小浜市の県立大かつみキャンパス
福井県立大海洋生物資源学部とふくい水産振興センターなどは3月16日、小浜市の特産品「小鯛のささ漬け」などに用いられるキダイの養殖に成功したと発表した。水槽内で天然キダイの自然産卵・ふ化から生まれた養殖キダイは、ささ漬け加工に適したサイズまで約2年とされる天然ものと比べ、約8カ月で成長した。同大などは「キダイの安定した出荷や加工につながる完全養殖実現への第一歩」としている。
同学部と同センター、関西電力の3者などは嶺南地域の水産業振興に向け2023年10月に協定を結び、キダイの完全養殖に向け共同研究を進めてきた。この日、同学部の富永特命教授らが同市の同大かつみキャンパスで発表した。
キダイはスズキ目タイ科に属し、レンコダイとも呼ばれる。温暖な水温を好み、水深60~200メートルほどのエリアに生息しているため飼育には不向きとされる。
県立大などはキダイがほぼ周年産卵している東シナ海の環境に注目。水温を20度ほどに維持し、日長時間を調整した水槽で、若狭湾で採取した成魚を育成。餌も配合飼料からゴカイなどに変え栄養状態を管理しながら産卵を誘導した。昨年7月、自然交配による受精卵と、ふ化を確認。以降連続9カ月以上継続させている。
通常、ささ漬けに用いるキダイは体長13センチ、50グラム程度の幼魚。このサイズまで成長するには2年ほどかかるが、栄養管理と安定させた成育環境の結果、約3分の1の8カ月で育った。
小鯛のささ漬けは小浜発祥の水産加工品。若狭地域では原料として年間250~300トンを仕入れているが9割は福井県外からとされる。養殖キダイの交配による完全養殖が実現すると、若狭湾で水揚げの旬を迎える秋ごろだけでなく、年間を通して安定供給が可能になる。さらに加工に適したサイズで出荷することができ、製造効率が図れるという。
富永特命教授は「来年の6~7月くらいに、水槽内で産まれた稚魚を親として産卵させる完全養殖を実現させたい」と話す。
この日、市内加工業者らも参加して試食会が行われ、天然と養殖のキダイで作ったささ漬けを食べ比べた。味は区別がつかないと好評だったが、養殖ものは天然ものより黒っぽく、富永特命教授は「水槽の色や餌で変えることができるかも」と話していた。
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