一棟貸し古民家宿で港町の歴史と暮らしにふれるひととき

 

北陸新幹線の終着駅である敦賀駅からJR小浜線に乗って約1時間。車でも50分程度で小浜駅に到着します。小浜は古くから若狭の中心地であり、京都にもっとも近い日本海側の港町として繁栄しました。

豊富な海産物などを朝廷に献上する「御食国(みけつくに)」としての歴史を持ち、現在は新鮮な魚介類、しょうゆ干しや小鯛ささ漬け、浜焼き鯖、鯖のへしこなどの特産品を求めて、他県から多くの人々が訪れています。

 夏は海水浴が楽しめ、ファミリー層向けの観光地に。一方で寺社仏閣をはじめ歴史的な建造物も多く、コンパクトながらさまざまな観光要素を有しているのが特徴です。

 特に重要伝統的建造物群保存地区である小浜西組は、時代を超えたような錯覚にとらわれるほどの景観を残すエリア。まるで自分が時代劇の主人公になったような感覚が楽しめます。

 一時だけの滞在では、きっと後ろ髪を引かれる想いに。せっかくだから、夜も朝の風景も知りたいと思うはず。そんな願望を叶えてくれるのが、古民家一棟貸しの宿「小浜町家ステイ」です。小浜町家ステイは、小浜西組をはじめ市内に全8棟。それぞれ趣が違うので、旅のスタイルにあった選択が可能です。

今回は「三丁町ながた」棟に宿泊しましたので、その様子をご紹介します。

 

「道の駅若狭おばま」でチェックイン

 

「道の駅若狭おばま」は舞鶴若狭自動車道・小浜ICのすぐそば

 

重要伝統的建造物群保存地区の一画にある三丁町は元茶屋町。「三丁町ながた」はかつて料亭として賑わっていた建物をリノベーションし、宿泊施設に利用しています。京都文化の影響が色濃く残る町並みは日中でもじゅうぶん風情がありますが、春夏秋冬そして昼夜の表情も気になるところ。地域の雰囲気とともに建物内の凝った意匠や造作など、ノスタルジックな雰囲気を楽しみましょう。

 

チェックインは、一般的な旅館と同じ15:00から可能です。利用者は「道の駅若狭おばま」(三丁町ながた棟から車で約10分)に立ち寄り、情報カウンターでチェックインを行います。電車利用の方は、有料の送迎プランかタクシーを利用するのが一般的ですね。
カウンターで滞在に関する案内がありますので、質問などがあればこちらで確認できます。

「三丁町ながた」の周辺には、ほとんどお店がありません。特にコンビニは一軒もないので、ご注意ください。必要なら宿までの道中にあるコンビニやスーパーに立ち寄ることをおすすめします。またチェックイン・カウンターの隣は、小浜をはじめ若狭エリアの食品やお土産などの販売エリアになっています。こちらで気になる商品を買い揃えておくのもよいでしょう。地酒や鯖のへしこ、小鯛ささ漬けなど小浜の夜に相応しい晩酌アイテムのほか、老舗の和菓子・洋菓子などスイーツ派も満足できる品揃えです。

準備を整えたら、いよいよ宿にむかいましょう。

チェックイン・カウンターの様子。観光パンフレットも置かれています

  小浜をはじめ若狭の名産品が充実

 

 

随所に残るいにしえの記憶
「三丁町ながた」外観

 

宿泊棟の玄関に足を踏み入れた瞬間から、建物に魅了されてしまいます。
どことなく寂しく、しかしやわらかな照明。
壁に掛かった古時計。
料亭の商売繁盛を見守ってきたであろう招き猫。
旧式のマッサージチェア。
得意先や関連業者の電話番号が書かれたボードもそのまま保存され、当時の商いの様子を呼び覚ましてくれるようです。

階段の先は懐古に満ちた世界が待っています

 

狭く急な階段で2階に上がります。料亭時代、いったい何人のお客さんがこの階段を昇り降りしたのでしょう。酒に酔った客が転がり落ちてもおかしくない作りですが、これがまた風情を感じさせてくれるのです。

2階は、全部で3つの和室を利用できます。一番奥にセミダブルベッド2台が置かれた寝室があり、他の2室がくつろぎスペース。3名以上なら、こちらにも布団を敷くことになりますね。

同じく2階にトイレとミニキッチンがありますが、洗面とお風呂は1階です。距離があるので少々不便に思うところもありますが、変則的な建物の構造や随所にみられる意匠のおかげで移動すら楽しく感じられました。

心地よい足触りを追及した「なぐり」の床、木や竹などの植物を薄く加工して平面上に編み、それを天井材とする「網代天井」。あらためて職人の技術に驚かされます。

  1. 建物内は随所に料亭時代の名残りが

 

  取材日は12月半ば。当日の朝は車のフロントガラスが凍りつくほどの気温となりました。小浜町家ステイのホームページをみると、「当時の趣や風情を残しつつ再生しているため、断熱性や気密性は高くありません。あらかじめご理解ください」との表記がありましたので、ある程度の寒さを覚悟していました。しかし、その対策は万全でした。各部屋にエアコンがあるのは当然として、洗面所や台所、トイレまで小型暖房器が設置されていました。室内の快適さは言うまでもありません。この心配りが嬉しいですね。

 

少しくつろいだ後は、カメラ片手に町を散策してみましょう。
まるで異世界にひとり迷い込んだよう。
古都の雰囲気を残す家々が目前に並び、海岸からはトンビの流麗な鳴き声が流れてきました。
ときおり目にする赤い彩りは、建物の軒先に吊るされた「身代わり猿」。町内の災いを身代わりに受け止めてくれる魔除けです。
庚申堂や地蔵堂、複数のお寺など、歩を進めるごとに新たな発見があって、自然と心も和やかに。

また宿から徒歩数分で海岸にでることができます。とくに「翼のテラス」から望む若狭湾は、小浜の象徴ともいえる光景。ぜひとも海のある生活を体験してみてください。

  1. 「三丁町ながた」の周辺は、趣のある光景が広がっています

 

 

さまざまな旅のスタイルに対応できる宿泊プラン

「小浜町家ステイ」は、食事プランが豊富に用意されています。季節限定で設定されているものもあり、たとえば冬季限定「若狭ふぐと越前がに満喫プラン」では2つの高級食材が堪能できます。こちらは、夕食を宿泊棟まで運んでくれるサービスですね。

ほかにも料亭「酔月」の名物海鮮丼を宿でいただけるプラン、朝食を地元で人気のパン屋さんで食べられる朝食付きプランなど、旅のスタイルにあわせて選択できます。

宿泊棟によってはダイニングキッチンを備えているところもあり、調理器具や食器類も用意されています。小浜の食材を買いこんで、本格的な自炊も可能です。

 

今回私が選択したのは「まちでいただく1泊2食付きプラン」。「三丁町ながた」から徒歩1分程度の距離にある料亭「四季彩館 酔月」で、懐石料理の夕食をいただきました。

多彩な宿泊プランを用意。今回は料亭での夕食プランを選択

 

献立は、期待どおり若狭の幸が中心。宿泊日当日は、紅ずわい蟹と真河豚のトマトソース掛け、小鯛笹漬けと地鯖の酢味噌掛けなど前菜4種から始まり、ふくい名水サーモンの蕪蒸し、鮮度抜群の刺身、和牛煮込み、鰤塩麹焼き、いとよりと海老の串揚げ、てっちり鍋、紅ずわい蟹のかやく釜飯と並びました。季節のデザートは小浜冬の風物詩・でっち羊羹とフルーツです。

(季節や当日の仕入状況により、メニュー内容は変更されます)

 

  懐石料理は、季節を反映した若狭の幸が並ぶ

 

洗練された小浜・冬のごちそうをいただいた後は、しばし周辺の雰囲気を楽しみました。
さすがは北陸・冬の夜。寒さは堪えますが、夜の帳が下りた静寂な三丁町もまた忘れることのできない光景でした。
宿に戻り、冷えた身体をコーヒーで温めます。あとは眠くなるまで思い思いの時間を楽しみましょう。読書に耽るのもよし、晩酌するもよし。
古き良き空間の心地よさは、自然と瞼が閉じるまで続きます。

更けゆく夜をそれぞれの楽しみ方で

  

 

 

 

 

 

 

 

 

「まちでいただく1泊2食付きプラン」の朝食は、「三丁町ながた」から徒歩7分程度の距離にある「ホテルアーバンポート」でいただきます。海岸通りに建つホテルなので、できれば散歩をかねて徒歩で移動したいところ。寒さが穏やかな日は、潮風と波音を楽しみながら朝食に向かいましょう。

   朝食は海岸どおりのホテルアーバンポートにて

   ホテル朝食は、チェックイン時に和食か洋食を選べます

 

アクティビティで楽しむ小浜の魅力

「小浜町家ステイ」は、公式ホームページからの予約で限定特典がつきます。宿泊日とその翌日まで有効で、小浜観光がお得に楽しめます。

特典①対象となるカフェで対象ドリンクが1杯無料
特典②小浜市に残る国宝・重要文化財のお寺を1社無料で拝観
特典③小浜のまちを巡るレンタサイクルが2時間無料
特典④小浜湾を一望できる温浴施設「濱の湯」の入浴が1回無料

公式HPからの予約なら4つの特典あり

  

 

 

 

 

 

 

また、アクティビティ(有料オプション)に参加すると、よりディープな小浜に触れることができます。2026年3月末までの期間限定「小浜ぐるっと老舗めぐり」は、町家ステイスタッフが案内する老舗めぐりツアー。鯖街道の起点を中心に、創業260年余の鯖専門店、明治元年創業の和菓子屋、創業100周年を迎えるお茶の専門店などを訪れます。
鯖街道ミュージアムで歴史に触れるとともに、スタッフによる道中の説明でも小浜の過去・現在の理解を深めてくれます。各老舗店にはやはり地元に長い間愛される所以があり、お店の人からその魅力を直接教えてもらえる楽しさがありました。
 その他にも小浜の魅力が詰まったアクティビティが、季節ごと複数用意されています。
小浜の暮らすような観光、ぜひ体験してみてください。きっと癒しになります。

 

  1. 左)「菓子司 木屋傳」 老舗の和菓子・洋菓子がショーケースに並ぶ
  2. ​右)「藤田園茶舗」お茶の美味さを再発見

  

  1. 左)「朽木屋」 冷めても美味な伝統の浜焼き鯖
  2. ​右)「とば屋酢店」お酢づくり一筋300年

 

  1. ※記事でご紹介した内容は、取材日当日のものです。
  2. ご予約の際は、公式ホームページ等で最新の情報をご確認ください。

 

  1. 小浜町家ステイ
  2. 福井県小浜市和久里24-45-2
  3. Tel : 070-2807-8074(受付時間9:00〜17:00)
  4. 公式ホームページ
  5. https://www.obama-machiya-stay.com/
  6. インスタグラム
  7. https://www.instagram.com/obama_machiyastay

 

  1. 小浜町家ステイは市内に全8棟
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  1. 取材日:2025年12月18日・19日)
  2. 福井県地域おこし協力隊
  3. 敦賀・若狭エリア魅力発信ライター 山田慎一
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  5. インスタグラムでも情報発信しています
  6. https://www.instagram.com/tsurugawakasa_writer