• 若狭めのう細工の唯一の職人として活動を続ける上西さん=小浜市
  • 上西さんが手掛けた若狭めのう細工のイヤリング(上西さん提供)
若狭めのう細工の唯一の職人として活動を続ける上西さん=小浜市

 福井県小浜市に伝わる若狭めのう細工が、国の伝統的工芸品に指定されて今年50年を迎える。最盛期に50人いた職人は徐々に減少し、現在は上西さん1人のみになっている。上西さんは「活気のある産地を復活させたい」と意欲的に制作を続け、産地存続に向けて孤軍奮闘している。

 若狭めのう細工は、江戸時代中期に始まったとされる。めのうの原石に熱を入れて、若狭めのうの特徴である鮮やかな赤色を出し、削ったり磨いたりして製品に仕上げる。1976年に国の伝統的工芸品に指定された。置物での需要が主流だったが、時代の変化に伴い売り上げが減少。1900年代前半に50人の職人がいたが、後継者不足と高齢化が進んだ。97年、小浜市の観光コースの一つとして親しまれていた若狭めのう会館が閉館し、同じ頃に若狭めのう商工業協同組合も解散した。

 上西さんは2003年、30歳で古里の小浜市に帰郷し、市食文化館内の体験施設「若狭工房」で、伝統工芸体験の指導員に就いた。職人経験はなかったが、硬い石を削って好きな形に作り上げるめのう細工に魅力を感じ、13年に職人として独立。16年に師匠が亡くなってからは、産地唯一の職人として活動している。

 上西さんは「原石の模様を最大限生かすデザインがめのう細工の肝。作りたい形があっても、その形にあった原石が出てくるまでは作ることはできない」と難しさを語る。一方、完成までの工程の中で「作品を形作る削りの工程が、イメージが具現化されるから最も楽しい」と話す。

 制作しているのは、現代の需要に合わせて、箸置きや勾玉(まがたま)のペンダントといった小物やアクセサリーが7割を占め、価格帯は1万円ほどが中心。23年に、県内の伝統産業を支援する県のプロジェクト「F-TRAD(エフ・トラッド)」に参加し、めのう細工の端材を使用したピアスとイヤリングを開発した。今後は、技術をより高めて芸術分野の創作にも挑戦したいという。

 「1人の活動では思うように情報発信できず、知名度も上がらない」と上西さん。「技術と売り上げを向上させ、従業員を雇用することから始めたい」とし、産地に関わる人数を増やして産地単独のイベント開催なども思い描いている。

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