特別便の船上からやぐら(右奥)を見る団体客=6日、若狭町の水月湖

 福井県狭町の水月湖で6月中旬から始まる11年ぶりの年縞(ねんこう)掘削にあわせ、同町海山の同湖岸を発着する観光船「レイククルーズ」は6月6日、船上でガイドが解説する特別便の運航を始めた。初日は団体客が船旅を楽しみながら、水月湖に7万年分の年縞がある理由などに耳を傾けた。掘削が始まると、湖に浮かべられたやぐらでの作業を間近で見ることができる。

 年縞は1年に1枚ずつ堆積する特殊な地層。含まれる花粉や元素組成を調べることで当時の気候が分かる。水月湖の年縞は現在、世界標準の「年代のものさし」となっており、5回目となる今回の掘削作業は7月末まで行われる。

 同観光船は一般社団法人「若狭路活性化研究所」が運営。水月湖と菅湖を巡るルートで、研究所のスタッフは特別便の運航に備えて、同町鳥浜の県年縞博物館で年縞について学んできた。

 初日は団体客約40人が乗船した。現在、掘削のためのやぐらは湖岸近くに浮かべられており、スタッフは「やぐらに載せる掘削の機械は、最近まで中米グアテマラで使われていた。今は、現地から若狭町に運んでいる途中で、まだ届いていない」と説明。掘削する現場も航行した。

 発着点の仮設研究棟では、同館の長屋憲慶学芸員が過去に採取した年縞のサンプルを見せながら、硫黄の臭いがすることなどを説明した。今後は、県年縞博物館の研究マネジャーを務める中川毅・立命館大教授によるオプションの年縞解説も準備している。

 運航は7月中旬まで。20人以上の団体客が対象。同7日は特別に個人客向けの便がある。団体、個人で料金が異なる。詳細はレイククルーズのホームページで確認できる。予約はレイククルーズ=電話0770(47)1127。

 このほか、年縞掘削を記念し、同館が7月13日に中川教授によるトークショーを町リブラ若狭で開くなど、町内でさまざまなイベントが行われる。

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