• ドレスの端材を飾り付けたバッグを持つ武藤さん。後ろはリメークコンテストの受賞作品=若狭町北前川のブライダルランドワカサ
  • マルシェでドレスの端材を使ったブレスレット作りに挑戦する子ども=4月27日
ドレスの端材を飾り付けたバッグを持つ武藤さん。後ろはリメークコンテストの受賞作品=若狭町北前川のブライダルランドワカサ

 福井県若狭町北前川にあるブライダルドレスの生産と展示の複合施設「BRIDAL LAND WAKASA(ブライダルランドワカサ)」を運営する「アルファブランカ」(本社京都市)が、ドレスの端材を活用する取り組みを進めている。県内のハンドメード作家と協力し、コラボ商品も誕生。県内外の大学生らを巻き込み、廃棄されるドレスをリメークしたコンテストも開かれ、持続可能な開発目標(SDGs)をテーマに、地域活性化につなげようとしている。

 ■「もったいない」

 同施設は、世界的なブライダルファッションデザイナー故桂由美さんのドレスなどを並べたミュージアムに工場を併設し、観光地にもなっている。

 ドレスの生産過程では生地や装飾品、刺しゅうなど多くの端材が発生し、これまで廃棄されていた。昨年4月からの3カ月間、施設で行われた新入社員研修の中で、「いい素材なのに捨てるのはもったいない」「何かに利用できないだろうか」と話題に上り、新入社員がアイデアを考え始めた。

 ■リピーターも

 昨年入社した武藤さんは「きらびやかな端材が捨てられるのを知って悲しかった。活用することで人や町に喜んでもらえるんじゃないかと考えた」と振り返る。

 武藤さんらは入社後しばらくして、施設内で端材をバッグや巾着に飾り付けるワークショップを開催した。その後も、クリスマスに合わせ端材を使ったリース作りを企画するなど工夫を重ねた。リピーターも多く好評だったという。

 活動は施設だけにとどまらず、福井駅や若い母親らが集まる坂井市の県児童科学館(エンゼルランドふくい)などで出張ワークショップも行い、より多くの人に物の再利用の大切さを伝えている。

 ■地元に活気を

 取り組みが発展し、県内のハンドメード作家らとのコラボ商品もできた。端材を使ったピアスやブローチ、ヘアゴム、イヤリングなどで、施設の3周年に合わせて今年4月に開かれたマルシェで販売した。端材のワークショップもあり、県内外の女性客や家族連れら約400人が来場した。

 武藤さんは「想定の倍以上のお客さんが来てくれた。ドレスの活用で地元を活性化させられる」と手応えを実感。秋にもマルシェを企画しており「定期的に開催して、町のにぎわいづくりの力になりたい」と語る。武藤さんと同期の尾久樹さん(28)も昨年度、廃棄予定のウエディングドレスを活用したリメークコンテストを初めて企画。県内外の大学生らから案を募った。今年3月にファッションショー形式で行われた最終審査会では、廃棄ドレスから生まれ変わった7作品が町民らに披露された。

 マルシェに出店したハンドメード作家の畑中さんは「ウエディングドレスやその端材は、私たち一般の人にとっては日常にはない貴重なもの。素材として使うことで、普段とは一風違ったオリジナルの商品が作れて楽しい」とメリットを語った。

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