
「ハ」の字の形に壁を作り網に追い込む漁法を試す松井さん=2日、小浜市府中
南川で取れたイサザ
福井県若狭の春の風物詩として親しまれ、河口に足場を組む伝統の漁法で行われてきた小浜市南川の「イサザ漁」。漁師の高齢化とイサザの減少で一昨年から漁が姿を消したが、同市イサザ採捕組合は今年、足場を組まずに漁師の負担を軽減できる新たな漁法を試した。同時に、小浜湾に流入する河川や海でイサザの生態調査も本格化させた。漁の復活と生息環境の解明へ試行錯誤を続けている。
イサザはハゼ科で、シラウオとも呼ばれ、あめ色の半透明で体長約5センチ。寿命は1年で、成魚まで海で過ごし、3~4月に川へ遡上(そじょう)し河口部で産卵する。環境省の絶滅危惧Ⅱに指定されている。
数十年前までは同組合に100人以上の漁師が所属。3月ごろから下流の川べりにはぎっしりと足場が並び、竹ざおの先端に取り付けた筒状の網を川底に沈める方法で漁を行っていた。
現在は組合員8人のうち7人が70歳以上と高齢化が進んだ。魚自体が減り、漁獲量も減少し近年はベテラン漁師の足場1基のみに。網の引き上げは体への負担が大きく、足場を組んでの漁は2023年を最後に見られなくなった。
今年、組合長ら3人は、ほかの地域で行われている漁法の調査を兼ねて試験的に導入した。水中に「ハ」の字の形に壁を設置し、追い込むように網を仕掛ける漁法で、体への負担が軽いという。県の許可を取り、以前より上流で産卵場所に近い同市府中で、3月上旬から4月上旬まで漁を行った。漁獲量としては多くはないが、ピーク時は1日で約900匹が取れた。
生態調査は小浜湾に流入する複数の河川で24年に始めた。イサザが減少した要因を探り、保全につなげるほか、成魚の生息域を突き止めようと、海で底引き網を用いた調査も行っている。3月下旬、県外のボランティアの協力を得て小浜以西3市町の15河川で調査。一般的にイサザが多く生息するといわれる「適度な川の流れがある」「砂とこぶしサイズの石がある」の条件を満たしていることを確認した。調査を継続し生態や生息環境を探っていく。
組合長は「かつての小浜は春になればイサザ漁に人が集まり盛り上がっていた。そんな光景をまた見たい」と復活を見据えている。
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