
小浜西組の町並みや町屋の部材などをまとめた写真集と、作製にあたった協議会のメンバー=小浜市役所
歴史深い町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている福井県小浜市の「小浜西組」のまちづくりに取り組む住民団体がこのほど、町屋の修繕風景や現在は作られていない部材、職人の技術などを収めた写真集を発刊した。住民団体メンバーは「町屋の建築技術や暮らし、文化を未来につなげるきっかけになれば」と話す。
「小浜西組町並み協議会」の馬場さんが2020年に同市浅間の旧銭湯「大師湯」の改修現場を見学。町屋の部材や建築技術といった「壁の裏など普段は見えないところに文化があることを伝えたい」と写真集発刊を企画した。翌年、協議会内に編集委員会を立ち上げ、約4年かけてまとめた。
写真集「小浜西組を築くもの MACHIYA archives book」はA5判89ページ。池田町出身の写真家、小林さんや改修に携わった職人が撮影した写真を掲載した。土壁の下地として細く切った竹を組む「竹小舞い」や屋根の瓦ぶきなど伝統的な技術を紹介。改修前後の写真も掲載し、比較ができる。
モミジやサクラなどの多様な模様が施され、現在は作られていない「型硝子(がらす)」や、レトロな雰囲気のタイルなども載せた。改修時に使用しない部材は廃棄されるため、馬場さんは「デザイナーなどがこの本を読んで古い部材の再利用にもつながれば」と話す。
雪で覆われた幻想的な町並みなど四季折々の写真も目を引く。町屋の改修に当たる職人も紹介している。
写真の説明文には英語も用いた。馬場さんは「日本だけでなく海外の人にも小浜西組の良さを知ってもらえたら」と話した。
同市鹿島の小浜町並み保存資料館やアマゾンなどで販売している。価格は資料館で2千円、他は2200円。
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