町歴史文化館所有のパネルなども並べて福井県の成り立ちの歴史を紹介する企画展=23日、美浜町若狭国吉城歴史資料館

 現在の福井県が成立するまでの歴史を紹介する企画展「彷徨(さまよ)う明治初期の若狭 意外と知らない福井県の成り立ち」は美浜町佐柿の町若狭国吉城歴史資料館で開かれている。同町河原市の町歴史文化館との初めての交換展示で、1873(明治6)年に福井全体が「敦賀県」にまとまったことや、その後の分離で嶺南が滋賀県に属したことなどを同文化館から借りたパネルと同資料館所有の史料で紹介している。7月13日まで。

 同資料館に訪れるお城ファンらに地域史にも興味を持ってもらい、美浜の地域史に関する展示のある同文化館への来館につなげる目的で企画。パネル9点と史料5点を展示した。

 嶺南は1871年の廃藩置県で、小浜藩の所領を中心とする小浜県が成立。パネルでは、その4カ月後に藩の影響力を弱める全国的な流れから、敦賀の一部を加え敦賀県となり、福井藩出身者の多い足羽県を73年に編入し、敦賀県として一つになった歴史を紹介。76年の南北分離による嶺南の滋賀県編入や、5年後の南北再統合による福井県成立の際に嶺南で起こった滋賀県への復県運動についても説明している。

 南北再統合のパネルに合わせ同資料館は今回、明治期の佐柿区に置かれた三方郡役所の文書を公開。県の移管の影響で滋賀県議選のわずか3カ月後に福井県議選を実施することを戸籍区責任者「戸長」に知らせるものや、文面の滋賀県の文字を赤線で修正し福井県に直したものなどから、政府に振り回される当時の住民らの混乱が見てとれる。

 同資料館学芸員は「両館の展示品を関連付けながら福井県の成り立ちを楽しく学んでもらえると思う」と話している。資料館と文化館はともに入館料一般100円、中学生以下50円。毎週月曜休館。

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