• 獅子舞が太鼓をたたきながら練り歩く様子が描かれた、布施さんの「獅子舞」=小浜市一番町の一番町会館
  • 布施伸介さん
獅子舞が太鼓をたたきながら練り歩く様子が描かれた、布施さんの「獅子舞」=小浜市一番町の一番町会館

 福井県小浜市の雲浜獅子に魅せられ2008年に亡くなった画家の布施伸介さん(享年76)の水彩画の大作「獅子舞(雲浜獅子)」が、同市の旧中央公民館の解体に伴い一番町区の会館に移された。雲浜獅子を奉納している地元での展示に、雲浜獅子保存会の木戸さんは「あるべき場所に飾られうれしい。偉大な画家が残された絵を多くの人に見てもらえれば」と話している。

 布施さんは東京都出身。前田青邨(せいそん)、平山郁夫両氏に師事し東京芸大を卒業後は愛知県立大に勤務、1997年に名誉教授に就任した。全国の寺社や祭りを巡って作品を描き続け、院展には40回入選した。60年前後から亡くなる直前まで毎年1、2回小浜を訪れ、雲浜獅子やお水送りなど伝統行事を描いたという。

 定宿だった市内の旅館「若杉」のおかみによると、布施さんの小浜滞在は約1~2週間。毎日まちへ出て絵を描いたという。祭りの様子や、住民にモデルになってもらい、色紙に描いて渡したことが印象的だったと振り返る。

 水彩画「獅子舞(雲浜獅子)」は150号(縦1・8メートル、横2・2メートル)の大作。3人の獅子が足を後ろに蹴り上げて、抱えた太鼓をたたく様子が描かれている。制作時期は不明だが、第60回院展(75年)に出品され入選している。作品は市が寄贈を受け旧中央公民館で展示していた。

 新たな寄贈先となった一番町区は、5月のお城祭りで雲浜獅子を奉納している“お膝元”となる。

 布施さんの妻・恭子さんは、「小浜は故郷だと言っていた。素晴らしい伝統行事を、後世に残さなければいけないと言い、絵にしていた」と語った。

 同会館は普段は開いていないが、希望者には開館する。問い合わせは木戸さん=電話0770(52)1589。

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