
若州一滴文庫開館40年を記念して行われた座談会=25日、おおい町岡田の同文庫
福井県おおい町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004年)を追悼する帰雁(きがん)忌が10月25日、同町岡田の若州一滴文庫で開かれた。水上さんが古里に建てた同文庫の開館40年を記念し座談会が行われ、関係者がこれまでの歩みを振り返り、次代につなぐ新たな一歩を考えた。
帰雁忌は文庫を管理運営するNPO法人「一滴の里」が毎年開催している。
「一滴文庫の40年を振り返る」をテーマにした座談会には長女の水上蕗子さんと一滴の里の渡辺力理事、同文庫の永江寿夫館長、下森弘之学芸員の4人が登壇、約100人が聴講した。
同文庫は1985年、水上さんが私財を投げ打ち開設した。当初は母の名を冠した「水上かん文庫」として構想が持ち上がったことなど、完成までの経緯を振り返った。その上で蕗子さんは「一滴文庫は父が建てたが、皆さんが作り上げたと思う」と述べ、一時休館したものの、地元の支持を受け歩みを進めることができたと強調した。
下森学芸員は開館に合わせ水上さんが記した子どもへのメッセージ「佐分利川べの子らに」には「夢をかなえるには意志が大切という思いがこめられている」とした。
水上作品の装丁や挿絵を手掛けた同町出身の画家、故渡辺淳さんが2014年9月、学生らに建設経緯の秘話を話した講演の映像も披露された。
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