
観光協会が主体となった地域独自のオンライン旅行代理店(OTA)の運用が、全国で初めて福井県若狭町でスタートし、民宿に予約が入り始めた。国の支援を受けた実証事業で、地域OTAで予約すると手数料が外部OTAに流れずに運営主体の若狭三方五湖観光協会(同町)に入り、観光振興に充てられる。運営側はネット上の予約の一括管理システムも導入し、民宿業者の高収益化を図っている。
町内の民宿は63軒で、農林水産省が5年ごとに実施する統計調査・漁業センサス(2023年)によると、漁師経営の民宿の数は全国最多。漁村民宿を生かした地域活性化モデルを創出しようと、同観光協会や町、福井銀行でつくるコンソーシアムが、観光庁の「観光DX推進による地域活性化モデル実証事業」の採択を受けた。国の支援を受けられる期間は1月末までで、以降は自立した運営を目指す。
コンソーシアムは、予約サイト名を「漁師の宿帖」と決め、12月4日から本格運用を開始した。サイト内では民宿の予約機能だけでなく、大規模な定置網漁の様子を撮影した動画や写真を掲載し、若狭町の漁業文化をアピール。旬の魚をカレンダーで紹介している。
コンソーシアムによると、17日現在、サイト掲載の民宿は2軒。賛同する事業者は多く、1週間後には約20軒に増える予定という。同観光協会の担当者は「今後も個別の民宿事業者への訪問を継続し、将来的には全民宿で利用してもらいたい」と話す。
これまで事業者が独自に予約を管理する負担を軽減するために、地域OTAと外部OTAからの予約を一括管理するシステムを導入。地域OTAからの予約が入ったという民宿「竹中」(神子)の竹越さんは「予約管理や請求書、領収書の作成を手書きでする必要がなく、過剰予約も防げるのはとても便利。高齢化や後継者不足で民宿事業者が減っていく中で、民宿の持続可能性の面でもいい取り組みだと思う」と話していた。
(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)


























