
再生した空きビルの前でジビエ肉をPRする坂本さん=25日、敦賀市相生町
福井県敦賀市で駆除されたシカ肉の有効活用を目指し、市内の坂本さんが11月29日、同市相生町にある空きビルにジビエ専門精肉店「山と太陽」をオープンした。肉は2月に稼働した市内加工施設から仕入れ、空きビルは、市内工務店が街中のにぎわい創出を目指して再生に取り組んできた物件。坂本さんは「食と資源の循環型の新拠点として、敦賀の山の恵みを家庭で気軽に味わってほしい」と話す。
坂本さんは北九州市出身で、大学では野生動物保護を専攻。勤めていた会社の転勤をきっかけに敦賀に移住した。趣味の渓流釣りで野生動物に遭遇してきた中で、敦賀市では2023年度、シカとイノシシなどで計約2200頭が駆除されたと知った。
有効活用を考え、県内外の獣肉加工施設でおいしいジビエを作るためのノウハウを学び、4月に食品製造業の「Rutoco(ルトコ)」を立ち上げた。同市疋田でジビエ処理加工施設を営む「つぬがじびえ合同会社」から仕入れる。
空きビルは、「大幸ハウジング」が福井大で建築を学ぶ女子学生の協力を得て改修を進めていた。坂本さんの精肉店のほか総菜店も入り、総菜店の一角に冷凍用のショーケースを設置して販売する。シカ肉は捕獲から1週間ほど低温で熟成させ、うま味を引き出して販売。県外業者から仕入れたイノシシやアナグマの肉なども家庭で使いやすいようパックに分けて並べる。
坂本さんは「シカ肉は高タンパクで低脂質。鉄分も豊富。駆除されたイノシシを資源として活用することで、地域の課題を価値に変えたい」と話している。
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