気比神宮境内を見学するモニターツアーの参加者=7日、敦賀市曙町

 クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」の敦賀港寄港に合わせ、福井県敦賀市は11月7日、市内の歴史や文化を体験する乗客対象のモニターツアーを初めて実施した。日本人20人が参加し、気比神宮の歴史や昆布文化の奥深さを堪能した。

 ツアーは、敦賀が誇る歴史や文化を組み合わせ「ストーリー性」を紡ぎ出し、その成果を書籍で紹介する「敦賀ものがたり創出事業」の一環。書籍は来年度出版する予定。文化芸術に関する企画やプロデュースを手がける「百間(ひゃっけん)」(本社東京)が協力している。

 午前9時過ぎ、クルーズ船を降り立った参加者は最初に気比神宮を見学。神仏習合の名残を示す「両部鳥居」形式の大鳥居や、平安時代の名僧、空海が7日7夜の大行をした場所と伝わる「土公さん」を見て回った。米国生まれの写真家で日本文化研究家としても知られるエバレット・ブラウンさん(京都市)による、ほら貝の演奏も楽しんだ。

 奥井海生堂では、昆布を熟成させる蔵を見学し、昆布すきや出汁(だし)の試飲を体験。敦賀赤レンガ倉庫内にあるイタリアンレストラン「ソニョーポリ」では昆布を素材に使った、パスタや魚料理などのコース料理を味わった。

 東京都からの参加者は「ガイドの方の丁寧な説明でよく理解できた。福井と言えば恐竜博物館の印象が強かったが、文化や歴史に関心を持てた」と話していた。市は参加者の声を踏まえ来年度、クルーズ船のオプショナルツアーに組み込むよう旅行会社などに提案し、市内での消費拡大や文化発信につなげたい考え。

 ツアーは文化庁の「魅力的な文化財活用推進事業」の補助金を活用し実施。ツアーに同行した同庁の担当者は「ツアーによる収益を文化財の保存にも回す好循環を生み出していってもらいたい」と期待を込めた。

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