湖面打つ音　冬を告げ　若狭町、たたき網漁始まる

たたき網漁で魚を追い込む漁師＝１日、若狭町の三方湖（宮本宰直撮影）

　福井県若狭町の三方湖で１２月１日、江戸時代から受け継がれる伝統漁法「たたき網漁」が始まった。漁師が青竹で水面を力強く打ち付けると、水しぶきが上がるとともに「バシン」という音が湖に響き、冬の訪れを感じさせた。

　たたき網漁は水温が低下し動きが鈍った魚を驚かせ、刺し網に追い込む漁法。三方湖の冬の風物詩として、例年１２月から翌年３月末まで行われる。

　午前９時前、鳥浜漁協の５隻が一斉に出漁。漁師たちは、紅葉が残る山々に囲まれた湖で長さ３～４メートルの竹を黙々と振り下ろし、全長約１６０メートルにわたって仕掛けた網に魚を追い込んだ。

　初回の漁では体長５０センチほどのフナが次々と網にかかったほか、体長６０センチのコイも取れた。同漁協の組合長は「漁の出だしは順調。三方湖の魚は臭みがなく身の締まりが良いので、多くの人に食べてもらいたい」と話していた。

　コイやフナは、町内の料理店で刺し身や煮付けで提供される。