暦にまつわる引札暦や掛け軸など新たな収蔵品が並ぶミニ企画展=おおい町暦会館

 福井県おおい町名田庄納田終の暦会館で、暦にまつわる掛け軸や広告用チラシに暦が記された「引札暦(ひきふだごよみ)」などを紹介するミニ企画展「新収蔵品展」が開かれている。本年度、新たに県内外から提供をされるなどした約20点を期間中に入れ替えながら公開している。来年1月末まで。

 暦は古くから生活と密接な関係にあった。平安時代には陰陽師(おんみょうじ)が陰陽道(おんみょうどう)を用いて暦などを作り、江戸時代では日ごとの吉凶を占った。人々は吉凶を見て作物の種を植えるなどしたという。

 掛け軸4点と引札暦9点のほか古文書など、本年度の新収蔵資料のうち約20点を公開している。

 4点の掛け軸はいずれも年代不明。その年の縁起の良い方角「恵方」にいる陰陽道の神「歳徳神(としとくしん)」と方位の吉凶をつかさどる8人の神「八将神(はっしょうじん)」が描かれたものは荘厳で目を引く。明治~昭和時代にかけ、全国各地の財閥や企業が発行した引札暦には暦とともに吉凶の早見表が載っており、それぞれえびす大黒や宝船、美人画などが描かれ華やかだ。

 このほか、1730年に日本で出版された書物「天経或問図巻辯解(てんけいわくもんずかんべんかい)」は1600年代の中国・清で書かれた天経或問という書籍が日本に持ち込まれ、天文暦学者らが解説した書。現在、一般的に知られる西洋天文学ではなく、当時の東洋天文学で使用された星座が記されている。サンプルも置かれており当時の星座が見てとれる。

 同会館の学芸員は「縁起が良いものが描かれた引札暦は家に眠っているケースが多い。名田庄ではほとんど見つかっていないが、もしあったら地域に限らず情報提供をお願いしたい」と呼びかけている。

 午前9時~午後4時半。水曜日休館。入場料は、高校生以上200円、小中学生100円。

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