• 市民や観光客へ貸し出す「水素自転車」=8日、敦賀市の金ケ崎緑地
市民や観光客へ貸し出す「水素自転車」=8日、敦賀市の金ケ崎緑地

 福井県敦賀市は、水素で発電する燃料電池(FC)を搭載した「FCアシスト自転車」のシェアサイクルサービスを10月25日から実証的に4日間実施する。脱炭素化に向けた取り組みの一環で、走行データや稼働状況を確認し、本格サービス導入に向けたスキーム(仕組み)を探る。

 FCアシスト自転車はトヨタ紡織(本社愛知県)が開発。敦賀市は同社と連携し昨年9月から、自転車3台を活用して走行実証を始めた。イベント時の試乗会や展示を通じて、市民に水素活用の可能性をPRしてきた。昨年度の走行実証で「長距離を走りたい」というニーズがあったことを踏まえ、本年度はスポーツタイプの自転車を市民や観光客向けに貸し出す実証実験に乗り出す。

 敦賀駅交流施設オルパークの専用ブースに自転車4台を配備。10月8日から専用サイトで予約受け付けを始め、25、26、31日、11月1日に無料で貸し出す。1回あたりの利用は3時間まで。市民らに市内をサイクリングしてもらい、燃料電池の発電状態や水素の消費量、走行速度といったデータを収集し、今後の製品開発に生かす。

 また、11月15日に開かれるイベント「わかさいくるロングライド」で敦賀市から高浜町までの約100キロを市職員やトヨタ紡織の有志メンバーで走破を目指すほか、同29日の市環境フェアでも展示する。

 FCアシスト自転車は電動自転車と同様、人がペダルをこぐ力をモーターで補助する。ペットボトルほどのタンクに200リットルの水素を圧縮して充填(じゅうてん)すると約100キロ走行できる。充填時間は約30分。トヨタ紡織は2028~30年ごろの製品化を目指している。

 市は、環境負荷の軽減と移動効率化を両立できる「次世代モビリティー」の水素自転車を活用したシェアサイクル事業の本格展開を模索していく考えで、市政策推進課の担当者は「親しみやすい自転車というツールを生かして水素エネルギーの普及を図っていきたい」としている。

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