神棒を隠し持ち、女性を追いかけ回す天狗=7日、美浜町新庄

 子孫繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)などを願う福井県美浜町新庄の奇祭「八朔(はっさく)祭」は9月7日、区内で行われた。男性のシンボルを模した神棒を持った天狗(てんぐ)が女性らを追い回し、集落に笑い声が響いた。

 数百年前から伝わる伝統行事で、つつかれた女性は子宝に恵まれるとされている。コロナ禍や人口減などで神事のみになった年もあったが、昨年から9月の第一日曜に開催することになった。

 区内で東西に分かれ、東は午前10時ごろに40人ほどの行列が寄積農業担い手センターを出発。笛と太鼓ではやしを奏でながら、お神酒を入れた樽神輿(たるみこし)を担いで、日吉神社へと向かって歩いた。黒色の衣装を着た露払いの天狗は神棒を隠し持ち、女性らを見つけると全速力で追いかけた。女性や子どもたちは驚きながらも、笑顔で逃げていった。

 午後には西字も、八朔音頭を歌いながら樽神輿を担いで、日吉神社に奉納した。天狗も登場した。区長は「天候に恵まれ今年も無事に祭りができて良かった。これからも続けて集落の繁栄を願いたい」と話していた。

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