小浜を拠点とした刀工集団が作った刀など約20点を展示したテーマ展=小浜市の県立若狭歴史博物館

 福井県小浜市の県立若狭歴史博物館でテーマ展「若狭ゆかりの刀と謎」(福井新聞社後援)が8月31日まで開かれている。小浜を拠点に活動した刀工集団「冬廣(ふゆひろ)」が手掛けた刀をはじめ、小浜藩にゆかりのある太刀など同館や市内で所蔵される約20点を展示。熟練の研磨技術で刀本来の姿を取り戻させた小浜市の研師も紹介している。

 「冬廣」は15世紀半ばに若狭に移り「相州伝」(神奈川県)や「備前伝」(岡山県)などの高度な技法を駆使して全国的に知られた。戦のあった室町時代の刀は切れ味を追求、先端にかけてすっと反りがあり、実戦向きかつ美しさも備えている。冬廣は武士のための刀だけでなく一般人も顧客としており、狩りのために作った鎗(やり)も並べた。

 さびた刀を研磨し当時の美しい姿を復元させた、同市の研師・故古谷豊久さん(2024年死去)についても紹介。作業の一連の流れに沿って、真剣に刀に向き合う古谷さんを定点撮影した写真や、砥石(といし)など愛用した道具も展示した。今回の展示品のうち、「冬廣」などの刀10振りは古谷さんが研いだもので、刀身につやと美しさを浮かび上がらせている。

 小浜藩主・酒井家から拝領したという、小浜の武士の子孫が保管する刀なども展示。酒井家の家紋の井桁紋をあしらった刀のさやを保護する引肌(ひきはだ)や、若狭塗の青漆を施したさやなども並ぶ。

 午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。一般310円。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)