
約1年ぶりに復帰した「蘇洞門めぐり」の小型観光遊覧船「のちせ」=8日、小浜市川崎1丁目
福井県小浜市の内外海半島にある景勝地「蘇洞門」を巡る遊覧船のうち、昨年8月に航行中のトラブルで停止した1隻が7月中旬、運航を再開し、約1年ぶりに従来の3隻体制に戻った。「蘇洞門めぐり」は小浜の観光を支える柱の一つで、2023年度の乗船客数は3万人超に上ったが、24年度後期は2隻だったため、前年度比約3割減の約2万人に落ち込んでいた。運航会社の担当者は「夏休みの集客時期に間に合い安心している」と話している。
昨年のお盆、小型観光遊覧船「のちせ」は航行中、スクリューにロープが絡まるトラブルが発生。運航を停止し部品交換や修理が必要となった。今年4月の運航再開を予定していたが、部品の納入が遅れ、さらに定期検査が重なった。
22年4月、北海道の知床沖で発生した観光船沈没事故を受け、遊覧船には次回の定期検査までに荒天時にも乗客が落水せずに乗り移りができる救命いかだの設置が義務付けられた。のちせは、今年5月の定期検査に合わせて取り付け、それに伴う船の復元性の検査も行った。このため、再開時期が当初予定よりずれ込み7月中旬、3隻体制に戻った。
運航事業者の「そともめぐり」(小浜市)によると、24年度はお盆のトラブル以降は2隻のみとなり、通常最大1日15便ほどの運航スケジュールは最大11便ほどに減少。客足は好調だったものの、最大限の受け入れができず、乗船客数は前年度から3割減の約2万人にとどまった。本年度は7月時点で24年度を上回るペースで推移しており、3万人超えを見込んでいる。
夏の観光シーズンに間に合い、安堵(あんど)の表情を見せる船長は「安全を最優先に運航するというのは以前から変わらない。小浜の海を見に来てもらいたい」と呼びかけている。
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