
たいまつを手に農道を歩く住民=9日夜、小浜市新保
田畑の害虫を追い払う伝統行事「虫送り」が8月9日夜、福井県小浜市の宮川地区で行われた。たいまつを手にした住民らが区内を練り歩き秋の豊作を祈った。
たいまつの火に害虫を引き寄せ、田んぼや畑から遠ざける行事。戦後、一時途絶えたが1979年に復活、83年には保存会が発足した。2003年、市無形民俗文化財に指定された。
午後7時ごろ、地区内7集落から計八つのたいまつ行列が旧宮川小に向けて出発。軽トラックなどに載せた太鼓、鉦(かね)をにぎやかに打ち鳴らしながら、長さ1メートルほどのたいまつを手にした住民が農道など歩いた。
同小グラウンドに集まった住民らは特設の祭壇で虫供養の法要を営んだ。この後、各太鼓の披露や打ち上げ花火も行われ、夏の一夜を楽しむ姿が見られた。
保存会の前野会長は「少子高齢化で参加する人も少なくなってきたが、できる限り続けていきたい」と話した。
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