福井県敦賀市の気比神宮の祭神と常宮神社の女神が年に一度の逢瀬(おうせ)を楽しむ伝統神事「総参祭(そうのまいりのまつり)」が7月22日、営まれた。気比神宮のご神体が船で敦賀湾を渡り、対岸にある常宮神社で再会を果たし、参列者が海上の安全と豊漁を祈願した。

 気比神宮の仲哀(ちゅうあい)天皇が、常宮神社に祭られている妻の神功(じんぐう)皇后のもとを訪れる神事で、一説には平安時代から伝わるとされる。

 気比神宮本殿では参拝者らが見守る中、午前10時から神事が営まれた。白装束に烏帽子(えぼし)姿の氏子青年会が仲哀天皇のご神体を載せた船みこしを台車でひき、約30人の行列で同市港町の桟橋まで練り歩いた。

 紅白の幕で装飾し5色の吹き流しを付けた御座船に船みこしが載せられると、随行船とともに出発。40分ほどかけて常宮神社近くに到着し、参列者が同神社本殿まで担いで歩いた。気比神宮の神職が発する「オー」という低い声が流れる中、ご神体が並べられた。常宮神社の氏子総代は「七夕のようなロマンのある神事。これからもずっと守り続けていきたい」。同神社の神職は「暑い日が続き、近年は災害も多い。地域の人や参拝者が災害に遭わず健やかな気持ちで過ごせるようにと願い、厳かな気持ちで臨んだ」と話した。

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