弁財天を喜ばせようと海に落とし合う若者たち=12日、美浜町久々子の海岸

 海の安全や豊漁、豊作を願う神事「久々子弁天祭」は7月12日、福井県美浜町久々子で開かれた。ご神体の弁財天を迎え入れたみこしが船で海を渡った。船上では若者たちが荒々しく落とし合うなど、勇壮な光景が繰り広げられた。

 弁天祭は1200年ほど前、弘法大師がこの地を訪れ、漁師や農民を苦しめていた大蛇を退治し、女神の弁財天を祭ったのが由来とされる。

 みこしを保管している区内の佐支(さき)神社から、若者約30人がみこしを担ぎ久々子海岸で船に載せた。対岸の宗像(むなかた)神社を目指し出航し、五色の吹き流しをなびかせながら着岸した。

 同神社で神事を行った後、若者たちが太鼓や笛でにぎやかな囃子(はやし)を響かせる中、ご神体をみこしの中に招き入れた。再びみこしを船に載せ、久々子海岸に向かった。海岸に着くまで、弁財天を喜ばせようと若者たちが船上で押し合い、何度も海にダイブ。海面には大きなしぶきが上がり、若者たちの歓声がわき上がった。

 海岸に到着すると若者はみこしを担ぎ、区内を練り歩いた。沿道にはみこしを見ようと区民が姿を見せ、「暑いけど、しっかり」と声をかけていた。

 区長は「今年も無事にできてうれしい。祭りに向けて若者たちは笛や太鼓の練習に励んできて、町の団結が強まった。これからも続けていきたい」と話した。

 13日は午前中にみこしが区内を巡行した。午後に再び船で宗像神社へ渡り、ご神体が神社に戻された。

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