
瓦がすべて取り外された御影堂の屋根を見学する参加者=11日、敦賀市原の西福寺
「令和の大修復」が進む浄土宗の古刹(こさつ)、西福寺(福井県敦賀市原)で7月11日、重文の御影堂(みえいどう)の修理現場見学会が開かれた。建物の覆屋(おおいや)内側で、1万6千枚の屋根瓦が取り外されるなど、部材の解体作業は順調に進捗(しんちょく)。参加者は、建立から200年以上たった県内有数の巨大木造建築物の“裏側”を興味深く観察していた。
御影堂のほか、庫裡(くり)、玄関も修復する大修理は2022年度から36年度まで15年間かけて行われる。見学会は西福寺と県、市が主催。11、12の両日、計7回実施し、計約140人が申し込んだ。11日の初回は市内外の18人が参加した。
修復作業の設計監理を担う文化財建造物保存技術協会(東京)の担当者が説明した。雨漏りや長年の風雨で屋根まわりは特に傷みが激しく、屋根北側の隅木(すみぎ)は直径60センチ以上の丸太材がかなり細くなっていた。取り外した屋根瓦は、金づちによる打音検査で状態を点検し、高い音がすればまだ使えると判断して再利用するという。
御影堂は年内でおおむね部材の取り外しが終了し、以降は組み立てに向けた作業に入っていく。御影堂の修理は2030年ごろまで約8年かけて行われる。
見学会に参加したフォトグラファーは「外観からはうかがい知ることができない部材の損傷や生きている部材の状態を如実に見ることができて有意義だった」と感銘を受けた様子。各地の伝統的文化財の修復作業を見学しているという平田さんは「完成後の姿を見るのが楽しみ」と語った。
修復事業の総事業費は28億円で、国や県、市の補助、西福寺の負担でまかなう。寺は文化財修復事業奉賛会を立ち上げ、3億円の浄財を募っている。
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