小浜市漁協などが開発した「若狭うららかき」と「若狭こはるかき」=9日、市役所

 福井県小浜市漁協などが小浜湾で養殖する新たなブランドマガキ2種を開発した。「若狭うららかき」と「若狭こはるかき」で、身入りや味わいだけでなく成育の速さに特長があり、「うららかき」は高水温への耐性にも優れている。流通量が少ない春と秋の出荷も可能で今後、量産化などに取り組む。5月9日、関係者が杉本和範市長に報告した。

 若狭の冬の味覚を代表する「若狭かき」だが、養殖の盛んな同市内では漁業者の減少や高齢化、海の環境変化に伴い生産量は減少。同漁協は市や地元漁業者などと連携し、2020年ごろから専用のかごで育てる「シングルシード方式」に着目、技術開発を開始した。22年からは県立大海洋生物資源学部も加わった。

 こはるかきは小浜湾で採取した天然種苗を養殖し、“純小浜産”にこだわった。通常1年半ほどの成育期間が8カ月ほどになり、カキの出荷がない春の供給も見込む。

 うららかきは卵を産まない「三倍体」と呼ばれる個体を使用。産卵しない分、栄養をため込むため夏場の高水温に強く、秋ごろの出荷も可能という。

 昨年度に行った試験販売では広島県産の種苗を使っていたが、こはるかきを親にした三倍体の種苗を養殖したところ順調に成育したという。将来的には小浜湾で採取した種苗で本格的な養殖を目指す。

 この日は、同大先端増養殖科学科4年の学生2人、カキ養殖事業者と市地域おこし協力隊が市役所で杉本市長に成果を報告した。4人は「こはるかきはクリーミーで、うららかきは上品な味わい」などと説明した。

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