• おおい町で製造された水素を使い会場と周辺駅などを結ぶ水素燃料電池船「まほろば」(岩谷産業提供)
  • 万博会場に初運搬するためトラックに積み込まれる水素の入ったカードル=18日、おおい町成海
おおい町で製造された水素を使い会場と周辺駅などを結ぶ水素燃料電池船「まほろば」(岩谷産業提供)

 4月13日開幕した大阪・関西万博の会場付近を運航している旅客船「まほろば」の燃料用に関西電力は18日、おおい町内で製造された水素の運搬を始めた。1970年の大阪万博で「原子の灯」として美浜原発1号機(廃炉作業中)から会場に送電されており、50年の時を経て次世代エネルギーが県内から再び万博会場へ届けられる。

 燃料用水素は福井県内の企業などでつくる「ふくい水素エネルギー協議会」が同町成海のうみんぴあに3月末整備した「水素ステーションおおい うみんぴあ」で作られた。県内原発で発電した電気を用い、1日当たり19・92キロの製造能力がある。水素は「まほろば」への供給のほか本年度中に姫路第二発電所(兵庫県)で行われる混焼発電実証実験に使われる。同町が今夏~秋ごろにかけて行うカーシェアリング実験でも活用される。

 万博会場での利用では、貯蔵容器「カードル」(高さ1・4メートル、横1・1メートル、奥行き1・6メートル)に水素を保管し月1回程度、水素補填(ほてん)設備のある南港発電所(大阪府)へ運搬。会場と周辺駅などを結ぶ水素燃料電池船「まほろば」に燃料の一部として供給する。カードルには水素を充填するボンベ20本が入り、1基あたりの水素量は12・5キロ。1回の運搬で2基を運搬する。

 初運搬のこの日は、あらかじめ水素を充填したカードルをクレーン付きトラックに載せ、関係者に見送られながら万博会場に向けて出発。午後に南港発電所に到着した。旅客船へは21日から充填される予定。船内ではサイネージでおおい町の紹介動画が放映される。

 水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出せず化石燃料の代替として期待されている。ステーションは原発立地地域の将来像を議論する国主催の「共創会議」で示された「ゼロカーボンをけん引する地域」の実現に向け、2050年のカーボンニュートラル達成への取り組みとして整備された。

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