
シカ肉ソーセージを開発した坂本さん=敦賀市神楽町2丁目
シカの骨でだしを取ったしょうゆラーメンを手にする(右から)木村社長、坂本さん、宮迫さん=敦賀市道口の「めん魚房 松月」
シカ肉ソーセージを開発した坂本さん=敦賀市神楽町2丁目
敦賀市で害獣駆除されたシカの有効活用を目指し、同市内でジビエ精肉店の起業に向けて準備を進める坂本さんがシカ肉のオリジナルのソーセージと、骨を煮込んでつくったスープが特徴のラーメンを開発した。
市によると、市内では昨年度、シカとイノシシ計約2千頭が駆除され、すべて埋設や焼却で処分されたという。市有害駆除隊員で猟友会敦賀支部の宮迫さんが2月、同市疋田に市内初のジビエ処理加工施設を稼働し、シカ肉を活用できるようになった。
福岡県出身の坂本さんは、東京農工大在学中に野生動物保護を研究。勤めていた会社の転勤を機に敦賀に住むようになり、1年前に美浜町の獣肉加工施設を見学し起業への思いが高まったという。昨年6月から製造コストや所要時間を考えながら独学でソーセージの開発を進めてきた。
うま味調味料は使わず、敦賀特産の黒河しいたけと昆布で天然由来のうま味成分を出した。隠し味に特産東浦みかんの皮を使い、さわやかな香りを引き出した。製造は、若狭町瓜生のデリカわっかハム工房に依頼し現在、敦賀市のふるさと納税返礼品に出品している。
ラーメン開発は昨年12月、敦賀の屋台ラーメンに出店する「めん魚房 松月」(同市道口)と共同で始めた。しょうゆ味でクリーミーな味わいが特徴という。松月の木村社長は「シカの骨はあくが強く、開発中は心が折れそうになったが何とか完成した」と手応えを感じている。坂本さんは「いただいた命を最大限有効活用したい。命の大切さとジビエへの親しみを感じてほしい」と願っていた。
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