西塚古墳から出土した副葬品や埴輪、木製品などが並ぶ特別展=若狭町若狭三方縄文博物館

 福井県若狭町若狭三方縄文博物館で、町制20周年記念特別展「国史跡西塚古墳の世界~若狭を代表する王墓の実像~」が開かれている。宮内庁書陵部が所蔵する副葬品や、町が2020、21年に行った発掘調査で出土した埴輪(はにわ)や木製品などが並ぶ。11月4日まで。

 同町脇袋の国指定史跡「西塚古墳」は古墳時代中期の築造とされ、4基ある脇袋古墳群の一つ。周濠(しゅうごう)のある前方後円墳で全長は74メートル。倭(わ)の五王に代表される対外交渉を示す大陸製の貴重な副葬品が多数見つかっているのが最大の特徴だ。

 宮内庁書陵部が所蔵する副葬品は1916(大正5)年に行われた発掘調査で発見された。町内での展示は2007年の町歴史文化館開館記念特別展以来17年ぶり。金製垂飾付耳飾は全国で50例ほどしか発見されておらず、うち2例は若狭町の西塚古墳と向山1号墳から出土している。ともに朝鮮半島南部で作られたと考えられており、西塚古墳のものは中心にコバルト色のガラス玉が埋め込まれている。神人歌舞画像鏡は番塚古墳(福岡)、朱千駄古墳(岡山)、長持山古墳(大阪)など各地域の主要古墳と同型で、西塚古墳の地位の高さがうかがえる。

 5世紀後半(古墳時代中期)の木製の鋤(すき)2点は、町の発掘調査で21年に周濠から出土した。古墳完成直後に投げ込まれ、祭祀(さいし)で使われた可能性があるという。北陸地方で最古とみられる5世紀後半の人物、動物埴輪の破片や、須恵器の一種である筒形器台を模倣したとみられる朝顔形埴輪なども並ぶ。

 担当学芸員による展示解説が26日、11月2日の午後1時半から30分程度行われる。予約不要。担当学芸員は「これまでの調査の集大成。展示を通じ、西塚古墳の価値を感じてほしい」と期待している。

 午前9時~午後5時開館、火曜休館。問い合わせは町歴史文化課=電話0770(45)2270。

5日に記念催し 講演やパネル討論

 若狭町制20周年記念特別展「国史跡西塚古墳の世界~若狭を代表する王墓の実像~」の開催を記念したフォーラムが5日、同町の県立三方青年の家で開かれる。「意外にすごい、若狭の古墳!!~東アジアを舞台に活躍した若狭の王たち~」と題し、基調講演やパネル討論が繰り広げられる。

 若狭町歴史文化課の近藤匠学芸員が町の発掘調査(2020、21年)の成果などを報告した後、国立歴史民俗博物館(千葉県)の広瀬和雄名誉教授が「若狭・上中古墳群の歴史的意義」と題し講演する。パネル討論には、広瀬名誉教授と宮内庁書陵部の清喜裕二・陵墓調査官、花園大の高橋克壽・文学部教授、若狭町文化財保護審議会委員で関西大非常勤講師の入江文敏さんが参加。「若狭地方の古墳の特色」「古墳の保存と活用」の2テーマで意見を交わす。

 フォーラムは午後1時半~4時。定員200人で事前予約不要。問い合わせは町歴史文化課=電話0770(45)2270。

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