福井県敦賀随一の桜の名所に、この時季だけ開放される桜の公園、映画に登場した一本桜や海沿いの斜面を彩る山桜―。敦賀市や美浜、若狭両町で、さまざまな桜が見頃を迎えはじめ、異なる表情で訪れた人を楽しませている。
コントラスト絶妙 若狭町・神子の山桜
若狭町神子(みこ)の通称「神子の山桜」は見頃を迎えている。桜の淡いピンクと木々の緑の絶妙なコントラストで常神半島の山肌を彩っている。
神子の山桜は、江戸中期に小浜藩の奨励で山肌一帯をアブラギリ畑として開墾した際、畑の境界を示す目印として植えられたものと伝わる。その後自生して増え、現在は300~400本が群生。県の名勝に指定されている。
町みさき漁村体験施設「みさきち」周辺から見上げると、斜面いっぱいに咲き誇る光景を楽しめる。カメラが趣味で、愛知県から神子の山桜を撮影するために4月5日夫婦で訪れた観光客は「海と山桜が一緒に撮れるなんて圧巻。タイミングよく来ることができた」と喜んでいた。
花換まつり華やか 敦賀・金崎宮
敦賀市の金崎宮ではソメイヨシノが咲き誇り、春の陽気に誘われ花見客が訪れている。良縁などを願う「花換(はなかえ)まつり」が開かれており、週末はさらに多くの人でにぎわいそうだ。
敦賀港や金ケ崎緑地などを見下ろす高台の境内を中心に約400本の桜が並ぶ。9日までのまつり期間中は午後6~10時にライトアップされ、夜桜を楽しめる。
来場者は参道に咲くソメイヨシノを眺めたり、写真を撮ったりしながら階段を上っていた。娘と訪れた市内の観光客は「毎年来ている。金崎宮の桜を見ると春がきたなと感じる」と話した。宮司は「見頃のこの土日には多くの人に来ていただきたい」と期待した。
一本桜 闇に映え 美浜・瑞林寺近く
美浜町早瀬の瑞林寺近くの丘では、福井県が舞台の映画「サクラサク」で登場した一本桜が堂々とそびえ立ち、ライトアップされている。
同寺は2014年に公開されたさだまさしさん原作の「サクラサク」のロケ地となった。高さ約10メートルの桜は、若狭湾と三方五湖の一つ、久々子湖が望める寺の禅堂の裏側の丘にある。
早瀬区の住民有志でつくる「早生会」によるライトアップが花が散るまで毎日、午後7~9時に行われている。住職によると、4月5日現在で4分咲き程度で、10日頃に満開となる見込み。「日中と夜の異なる表情を楽しんで」と期待している。
今年も公園一般開放 敦賀・東洋紡
東洋紡敦賀事業所は、敦賀市呉羽町の第2事業所の北西にある「さくら公園」を一般開放している。12日まで。
約200メートルの桜並木の先に広がる公園は約2千平方メートルあり、約40本のソメイヨシノが植えられている。市民に親しんでもらおうと、2018年から桜の開花時期に一般開放している。
同社担当者は「今週末が見頃。まちなかにある桜を楽しんでもらえれば」としている。
車で訪れる場合は、東側県道から案内看板に従って進み、指定駐車場を利用する。徒歩の場合は、敷地北側出入り口が使える。
開放は午前9時~午後5時。飲食物の持ち込みは可能だが、火気の使用や宴会は禁止。問い合わせは同事業所総務部=電話0770(22)7611。
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