北陸新幹線敦賀開業記念展「敦賀の名品」展が3月15日、福井県敦賀市立博物館で始まった。同日、国の重要文化財に指定するよう答申された、西福寺所有の古文書群「西福寺文書(もんじょ)」の一部や、俳聖・松尾芭蕉が敦賀に残していった竹杖(たけづえ)(市指定文化財)などえりすぐりの品を紹介している。4月21日まで。
「西福寺文書」は鎌倉時代末期から昭和20年代までの文書・記録992点と、江戸時代を中心とした版本278点からなる計1270点。大部分が2005年に県有形文化財に指定された。このうち556点が重文に指定される。
「西福寺文書」からは朝倉義景禁制など8点を展示。禁制は当時の支配者が発給するもので、朝倉義景禁制は1573年4月、織田信長禁制は同年8月に出されていることから、この間に敦賀を支配した武将が移ったことを物語っている。このほか羽柴秀吉、大谷吉継、結城秀康といった名だたる武将の禁制や同様の意味を持つとみられる判物などを並べている。
芭蕉が1689年、おくのほそ道の旅で敦賀を訪れたことを示す史料では、滞在した宿に残したとされるかさと杖のうち、現存する竹杖を紹介。芭蕉が気比神宮で詠んだ「月清し遊行のもてる砂の上」の初案の句とされる短冊「なみだしくや遊行のもてる砂の露」もある。
内海元紀「敦賀津図」や、同館所蔵絵画で随一の人気を誇る円山応挙「狗子(くし)図」などの日本画6点も会場に彩りを添えている。
副館長は「敦賀の歴史や文化の代表的なものを集めた。新幹線で初めて訪れる方も地元の人も“いいとこどり”した展示を楽しんでもらえたら」と話している。
入館料は一般300円、高校生以下無料。休館日は3月21日と毎週月曜。
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