東京発の北陸新幹線一番列車「かがやき501号」が到着し、降り立った乗客らでごった返す敦賀駅=16日午前9時40分ごろ、敦賀市(杉本哲大撮影)

 福井県民が半世紀にわたって待ちわびた北陸新幹線に乗って、首都圏などからの人波が3月16日、県内に押し寄せた。終点の港町敦賀、恐竜モニュメントが雄たけびを上げる玄関口福井の各駅に降り立った観光客らは「開業初日に来たかった」「めっちゃワクワクする」と語り合い、改札を抜けて歓迎ムードに満ちた快晴のまちに繰り出した。

 午前9時34分、東京発の一番列車「かがやき501号」が敦賀駅のホームに滑り込むと、列車からあふれ出た乗客で駅2階乗り換えコンコースはごった返した。改札近くで米澤光治市長らが「ようこそ、敦賀へ!」と記念のまんじゅうを配って出迎えると、観光客らに笑顔が広がった。

 家族4人で訪れた東京都の男性は「金沢開業のときも初日に乗れたので、今回も一番列車に乗りたかった」と満足げ。全員が初めての福井訪問で2人の娘さんは「恐竜博物館が楽しみ。いろいろな恐竜の特徴を見てみたい」と目を輝かせた。

 千葉県の会社員は、前日の特急サンダーバードの乗り納めと、金沢発敦賀行き「つるぎ」の一番列車の乗り初めを達成。16日は自身の誕生日で「一生忘れられない思い出になりました」と声を弾ませた。

 福井駅にも観光客が続々降り立った。神奈川県から同じ大学の友人同士で訪れた2人は、目的地に嶺北の観光地を次々挙げるほど福井の“予習”は十分。「今回は回れない嶺南のスポットもあるので、別の季節にまた来たい。駅に着いただけでまちの盛り上がりを感じる」とうきうきしていた。

 東京都の親子連れは、一番列車の「かがやき」で福井市の実家に帰省。「車内で流れた乗務員さんの心のこもった歓迎のアナウンスに感動した。亡くなった祖母や父に、とうとう福井まで新幹線が延びたよと心の中で報告しました」と感慨深げ。埼玉県から福井市内に帰省した親子も「新幹線の車窓から見る金沢から福井までの景色が新鮮だった。これからはもっと気軽に福井に帰って来られる」と話していた。

 越前たけふ駅に降りた大阪府吹田市の観光客は、越前市街地にあるハピラインふくい武生駅に向かうシャトルバス乗り場へ。ご当地グルメのボルガライスをお目当てに「街もぶらぶらしてみよう」と心を躍らせていた。

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