国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録されている福井県敦賀市の中池見湿地の多様な生き物を紹介する冊子「いきもの不思議の国 中池見湿地」がこのほど発刊された。国内有数の72種が確認されているトンボや、「水田雑草」と呼ばれながら現在は絶滅危惧種となった水生植物、希少種を含め200種近くが飛来する鳥類など撮りためた写真をふんだんに掲載している。
NPO法人ウエットランド中池見と同市の自然環境を考える活動を続ける市民団体「ナチュラリスト敦賀 緑と水の会」が発刊した。
「華やかな蝶(ちょう)の世界へ」のコーナーでは蜜を吸うギフチョウやモンキアゲハ、羽を休めるアサギマダラが誌面を彩る。「里山の動物たちも元気です」では、ニホンジカやホンドギツネ、タヌキなど中・大型ほ乳類が市街地に近い場所にもかかわらず伸び伸びと生活していることがうかがえる。
同NPOの活動が2009年12月、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に登録されて15年の節目に発刊した。事務局の笹木進さんは「中池見湿地は出かけるたびにいろいろな動植物との出合い、一期一会ともいえるワンダーがある。いつでも会えるとは限らないが、(冊子を読んで)『出かけてみたい』と思ってもらえたら幸い」と話している。
冊子はA4判、22ページ。千部制作した。希望者はウエットランド中池見=電話0770(23)5003。
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