新たに用意された10代当主早苗氏の経歴を紹介するパネル=25日、敦賀市市野々町1丁目の柴田氏庭園

 国の名勝に指定されている福井県敦賀市の柴田氏庭園は、リニューアルから2年を迎え、館内の展示を充実させた。県議を務めた柴田家10代当主の早苗氏(1848~1929年)の功績に光を当てた。市学芸員は「早苗氏を通じて、明治期に福井や敦賀が近代化するまでの過程にも理解を深めてほしい」と来場を呼びかけている。

 庭園は江戸時代の豪農柴田権右衛門の屋敷跡。市のシンボル野坂山を借景とする池泉庭園や武家風造りの書院がある。2023年10月にリニューアルオープンした。

 邸宅「甘棠(かんとう)館」には今年3月末までで、3500人を超える入館があった。より多くのリピーター客に来てもらおうと、冠木門(かぶきもん)周辺の紅葉が見頃を迎える時期に合わせ11月1日から展示を充実させた。

 10代当主早苗氏を顕彰するパネルを床の間に用意。県議を務め、敦賀に県立商業学校設置を提案したと紹介している。初代当主の光有氏が当時の市野々村の新田開発をしたことや、早苗氏が生きた時代とも重なる福井の廃藩置県の経緯なども取り上げた。

 展示拡充に合わせ、トートバッグ(400円)と庭園の四季を写した写真4枚セット(300円)の販売を開始した。

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