• 金賞を受賞した「THE SEA IS WATCHING YOU」((c)Photographer Rintaro Ukon)
  • 右近倫太郎さん
  • 銀賞を獲得した「The Queen Beneath Silence」((c)Photographer Rintaro Ukon)
金賞を受賞した「THE SEA IS WATCHING YOU」((c)Photographer Rintaro Ukon)

 福井県敦賀市出身の写真家、右近さんが、フランス・パリで9月に開かれた国際コンテストで金賞を獲得した。受賞作は南太平洋の島国トンガ沖に素潜りし、体長約4メートルの子クジラが泳ぐ姿を捉えた。年内には敦賀市内にギャラリー兼事務所を開設する予定で活動拠点の一つにしていく。

 コンテストは「PX3(Prix de la Photographie Paris)」。欧州で知名度の高いコンテストの一つに位置づけられている。

 金賞を獲得した「THE SEA IS WATCHING YOU」は「30センチぐらいの距離でクジラと見つめ合う奇跡のような瞬間」(右近さん)を撮影。水中での高度なカメラコントロール技術やクジラに警戒感を抱かせないアプローチが評価された。

 同じコンテストの別の部門では、プールの中でウエディングドレスを着た女性を撮影した作品が銀賞を受賞。ドレス生地が舞う様子を捉えた、絵画のような幻想的な作品だ。

 右近さんは「水中撮影は単に被写体を記録する行為でなく、自然と心を通わせる営み。異世界の空気感があり、新しい挑戦としてこの分野を選んだ。予定調和ではない、日常では得がたい感動を味わうために水に潜っている」と言う。

 右近さんは敦賀北小、角鹿中、武生東高を経て立命館大に進学。税理士を目指していたが、カメラが趣味だったこともあり、卒業後は料理スタジオの動画ディレクターやホテルのウエディングフォトグラファーとして経験を積んだ。現在は都内で出張ウエディングフォト撮影を手がける会社の代表を務めている。

 国際的コンテストでの快挙に「積み重ねてきたものが間違ってなかった確証を得られてうれしい」と話し、今後に向けては「自身の感動や熱意が伝わる作品を心がけ、みんながハッピーになる写真を撮り続けていきたい」と意欲を示した。

 古里敦賀については「松原(の海岸)で泳ぎ、中池見(湿地)を駆け回っていた経験が自分の財産。敦賀の自然は世界レベルで見てもとてつもなく魅力的」と語り、幼少期の記憶が作品の風合いにも生きているという。

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