福井県内外の若手を中心とした現代美術作家と障害のあるアーティストの計5人が若狭町の熊川宿若狭美術館で公開制作した作品の展覧会が、同館で開かれている。独創的な立体作品や絵画などが並ぶほか、各作家の制作プロセスも確認できる。9月30日まで。
県と県文化振興事業団、若狭町、NPO法人「若狭美&Bネット」、若狭熊川宿まちづくり特別委員会でつくる実行委が主催する第2回熊川宿若狭芸術祭の一環。公開制作は「臨場」をテーマに、現代美術作家の千原真実さん、堀内悠希さん、小林雅代さん、長谷光城さんの4人と、視覚障害のある柴山信宏さんが8月20~29日の10日間で取り組んだ。
小林さんは縦10メートル、横42センチのトレーシングペーパーに水色や緑、白の糸をミシンで縫い付けていった。美術館の梁(はり)にかけたり床に置いたりして展示し、見る人を楽しませている。長谷さんは山や森をモチーフに、白く塗った細長い木の板と長方形の木片をつなぎ合わせた。木々が枝を伸ばし、根を張り巡らせる様子を浮かび上がらせている。
千原さんは熊川宿内3カ所と町若狭三方縄文博物館の風景を捉えた写真にアクリル絵の具を塗って作品を仕上げた。「絵画とそうでないものの境界を探った」という。堀内さんは水溶性樹脂の球体が三つ積み上がった立体などを展示。雪だるまや団子のように見え、想像をかき立てられる。柴山さんの絵画「宇宙の彼方」は多くの色を使いさまざまな図形を組み合わせて緻密に描いている。
あわら市金津創作の森館長で県文化振興事業団の芸術文化アドバイザーも務める野田訓生さん(62)が撮影した10日間の制作プロセスが分かる写真も展示。各作家の過去作品も並んでいる。
金土日月曜と祝日の午前10時~午後4時半に開館。入館料(協賛金)200円。問い合わせは熊川宿若狭美術館=電話050(3565)5885。
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