福井県おおい町内の寺院や観音堂に安置されている平安時代の仏像を紹介する「千手観音立像展」と「修復文化財展」が町立郷土史料館で開かれている。収蔵庫改修による一時保管や仏像の修復完了に伴い、普段は公開していない仏像や経巻計7点を展示。当時の仏教文化を伝える貴重な文化財となっている。いずれも12月10日まで。
「千手観音立像展」では、同町万願寺にある曹洞宗寺院・意足寺(いそくじ)の収蔵庫に安置されていた国指定重要文化財「木造千手観音立像」を紹介。収蔵庫の改修に伴い、同史料館が現在保管している同像を特別公開している。
11の顔と42の腕を持つ千手観音は、ヒノキの一木造りで像高109センチ。平安時代後期の作で、現世での10の利益と来世での4の果報をもたらすとされている。1916(大正5)年の仏像修理の際、仏像の背面から見つかった同じく国指定重要文化財の経巻「千手千眼陀羅尼経(せんじゅせんげんだらにきょう)」も展示している。
「修復文化財展」では、同町大島の宮留観音堂に祭られている町指定文化財の5体の仏像を展示。腐敗や欠損などがみられる仏像を約2年かけ修復した。
千手観音と同じ平安時代後期の木造で、同時代の仏像がまとまって安置されていることから当時の住民の仏教信仰の厚さがうかがえる。
穏やかな表情の菩薩(ぼさつ)や阿弥陀如来、威厳に満ちた険しい表情の毘沙門天や不動明王は、手に持つ持物(じぶつ)から衣のしわに至るまで精巧に造られている。
両展示とも無料。午前9時~午後6時。月曜休館。展示にまつわるクイズラリーも実施している。問い合わせは町立郷土史料館=電話0770(77)2820。
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