約1年ぶりに若狭彦神社に戻るご神体を納めた神輿=4日夜、小浜市竜前の若狭彦神社

 福井県小浜市の若狭彦神社(竜前)本殿の檜皮(ひわだ)ぶき屋根ふき替え工事に合わせ、昨年10月から若狭姫神社(遠敷)に遷(うつ)されていたご神体が10月4日夜、「正遷座祭」が営まれ若狭彦神社に戻された。ご神体を納めた神輿(みこし)とともに地域住民がかねや大太鼓を演奏しながら運び、修復された本殿に約1年ぶりに戻った。

 「若狭一の宮」として知られる両神社は1300年以上の歴史がある。若狭彦神社には山幸彦命(やまさちひこのみこと)、若狭姫神社には豊玉姫命(とよたまひめのみこと)が祭られ、2人の神は夫婦関係にある。

 若狭彦神社の本殿屋根は、2022年の大雪のほか台風で破損が目立ち、1965年以来のふき替えの修復がなされた。修復は9月30日に完了した。

 午後5時40分ごろ、宮司を先頭に竜前、神宮寺区の2区の氏子計約30人が神輿を担いで若狭姫神社を出発。11日に始まる両神社の秋の例祭「遠敷祭り」で今年出番区の「検見坂池田神楽保存会」の約50人と、氏子地域の4区でつくる「遠敷大太鼓保存会」の約40人も加わり、かねや大太鼓などを打ち鳴らしながら約1・8キロ歩いて若狭彦神社を目指した。

 午後6時半ごろ、若狭彦神社に到着。厳かに神事が執り行われ本殿にご神体が遷された後、各芸能が本殿前で奉納された。両神社の宮司は「60年ぶりの修復が完了し、神様にすがすがしくお遷りいただけるのは大変うれしく思う。太鼓や神楽の保存会の皆さんにも参加していただきありがたい」と話した。

 また来年5月から修理工事予定で、若狭彦神社の県指定文化財にもなっている「神門」「随神門」について、今月末までクラウドファンディングで修復に向け資金を募っている。

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