新田開発に取り組んだ柴田氏の苦難などを伝える企画展=8日、敦賀市立博物館

 国の名勝に指定されている福井県敦賀市の柴田氏庭園のリニューアルオープンを記念した企画展「いちにんびゃくしょう 市野々の柴田権右衛門さん」は8日、市立博物館で始まった。肖像画や屋敷などの絵図、迎え入れていた小浜藩主の酒井家の家紋入りの食器など23点を並べた。

 庭園は市の保全整備事業が完了し10月1日にオープン。展示は、江戸時代に柴田氏が新田開発に乗り出した経緯や、農村経営で借金がかさむなどした柴田氏の苦難などを知ってもらおうと企画した。

 帯刀し武家風に描かれている柴田氏の肖像画には、先祖としていた楠木正成の家紋が確認できる。書面「市野々開発永代墨印二付願書案(いちののかいはつえいだいぼくいんにつきがんしょあん)」は、新田開発で小浜藩に年貢の税率などを低くしてほしいなどの要望が書かれ、荒れ地だった当時の市野々村の厳しい状況がうかがえる。

 柴田氏は借金返済や土地改良、河川改修に充てる費用の捻出に苦労し、米以外にも酒などさまざまな商品開発に当たっていた。展示では当時の国内の経済状況や、敦賀で起きた一揆の様子などをつづった「天明歳中聞書(てんめいねんちゅうききがき)」を並べ、さまざまなことに関心を持つ柴田氏の一面を伝えている。

 学芸員は「展示を通して江戸時代初期から幾度も課題に直面し、乗り越えてきた柴田氏の足跡をたどってもらいたい」と話している。開館は午前10時~午後5時。月曜休館。入館料300円(高校生以下無料)。

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