福井県若狭地方の伝統食「にしんのすし」の出荷が10月27日、小浜市遠敷のJA福井県嶺南営農経済センターの小浜加工センターで始まった。ニシン、こうじのうま味を吸ったダイコンがくせになる味に仕上がっている。出荷量は過去最高の約2・2トンを見込んでいる。
にしんのすしは、身欠きニシンを塩漬けしたダイコンやこうじと合わせてたるに入れ12日間発酵させて作る。主に同市などを流れる北川沿いで作られ、正月料理として親しまれている。江戸時代に日本海を行き来した北前船によりニシンが持ち込まれたのがはじまりとされる。
出荷作業は午前8時半ごろ始まった。職員2人がたるに入ったダイコンとニシンを取り出してパックに詰め、「伝承の味 にしんの寿(す)し」のシールを貼り付けた。この日は250グラム入りの240パックを近くの直売所などに出荷した。
今年は猛暑によりダイコンはやや小ぶりなものの「くせのある味やこうじの甘みはばっちり」と小浜加工センターの清水所長は話す。今後は週に3回、計約600パックのペースで3月上旬まで出荷する。12月下旬のピーク時には、パックの大きさを1・5倍にして連日作業にあたる。
清水所長は「若狭の伝統の味を家族だんらんでかみしめてほしい」とPRしている。
1パック約540円。小浜市内の道の駅やAコープ、県内のJA直売所などで販売する。問い合わせは小浜加工センター=電話0770(56)5017(平日のみ)。
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