若狭地域に残る貴重な仏像などを展示した県立若狭歴史博物館の特別展=24日、小浜市の同館

 小浜市の県立若狭歴史博物館の特別展「若狭 山のほとけ、村のほとけ-密教と禅と-」(福井新聞社後援)が10月25日から開かれている。同市や若狭町、高浜町の古刹(こさつ)に残る仏像や絵画など83点を5章に分けて展示。若狭地域の密教信仰に焦点を当てる。11月24日まで。

 若狭地域には天台宗や真言宗といった「密教」とのつながりが深い寺院が多く、その関係性を特別展でひもとく。

 「海中に聳(そび)える高山 久須夜岳」をテーマにした展示には、平安時代に作られ同市堅海に伝わる高さ101・9センチの国重要文化財「観音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」を展示。集落の近くに久須夜岳があり、古来の山岳信仰と密教の結びつきを示している。同時期に作られ、同集落や周辺に伝わった計13体の仏像も並ぶ。テーマ「三方湖上に浮かぶ寺 大乗寺」では、かつて三方湖に浮かんでいた島にあった大乗寺の本尊「釈迦如来坐像」を紹介。同町田井の慈眼寺に伝えられ、地域で密教文化が守られてきたことが分かる。

 このほか密教の世界観を描いた県指定文化財「両界曼荼羅(まんだら)」や、日本に真言宗を伝えた空海など8人の僧を描いた「真言八祖像」など羽賀寺(小浜市)の所蔵品を並べた。高浜町の青葉山周辺にある馬居寺本尊の「馬頭観音坐像」(複製)を守る「四天王立像」も目を引く。小浜市の円照寺に残る文化財から禅宗寺院でも密教の要素を取り入れた行事が執り行われてきたことを紹介している。

 午前9時から午後5時まで(入館は同4時半)。観覧料は一般400円、高校生300円、小中学生200円。休館日は11月10日。

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