敦賀の仏教文物を紹介している特別展「つるがのみほとけ」=敦賀市立博物館

 福井県敦賀市立博物館で特別展「つるがのみほとけ~海辺の祈り、山里の祈り」が11月30日まで開かれている。仏像や仏画、経典など、市内の寺やお堂で大切に守り伝えられてきた仏教文化財52点を展示し、仏教信仰の歴史をひもといている。

 同博物館で仏教文物を中心とした特別展は2000年以来25年ぶり。

 北陸トンネルの敦賀側出口近くの丘陵部斜面に築かれた深山寺(みやまでら)経塚は12世紀前半に造営され、県内最古級の経塚群。経塚とは仏教の経典を土中に埋めて造った塚で、鏡や舶来の陶磁器といった副葬品を展示している。

 県内屈指の古刹(こさつ)として知られる西福寺(原)の「一切経勧進経」(国重要文化財)は全25巻のうち8巻を特別展の会期中、前期と後期に分けて4巻ずつ展示する。織田信長による朝倉攻めで西福寺は被害を受けたが、奇跡的に難を逃れた。経典を保管する箱「孔雀鎗金経箱(くじゃくそうきんきょうばこ)」(国重要文化財)と合わせて紹介している。

 砂流区の高岡神社薬師堂に祭られている薬師三尊像や、刀根区の気比神社境内釈迦堂に祭られている地蔵菩薩坐像(ぼさつざぞう)はそれぞれ高さが約1メートルあり、存在感が際立つ。天台真盛宗の古刹、真禅寺(栄新町)の阿弥陀来迎図は市指定文化財で、たおやかな美しさが印象的だ。

 このほか、四国八十八カ所を手本に江戸時代に成立した巡礼ルート「若越八十八カ所」や、10年超に及ぶ西福寺の修復事業についてもパネルで解説している。

 副館長は「敦賀は戦争の被害が大きく、社寺に伝わる文化財の多くが失われたと考えられてきたが、比較的被害が少なかった地域では歴史を秘めた仏教文物が大切に守られてきたことを市民はじめ多くの方に知っていただきたい」としている。入館料300円(高校生以下無料)。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)