日本遺産「北前船寄港地・船主集落」の構成文化財などを展示している企画展=美浜町歴史文化館

 日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の認定自治体に福井県美浜町が追加されたことを記念した企画展の後期が、町歴史文化館で開かれている。町内に伝わるのぼり旗や船絵馬、古文書といった構成文化財など8点が並ぶ。3月2日まで。

 坂尻区の北前船主家に伝わるのぼり旗は長さが3・13メートルと大型で、中央に大きく「榮丸」と船名が縫い付けられている。航海時に船に掲げられたと考えられるという。

 1906(明治39)年に久々子の北前船主だった中西庄吉が海運業を廃業する際に制作された船絵馬は形の異なる3隻の船が並んで描かれており、珍しい画面構成。庄吉と航海を共にした歴代の船で、日本船の西洋化の系譜が見て取れる。

 早瀬区は180を超える北前船に関する古文書を所蔵している。企画展で展示されている1871(明治4)年に記された1点は、早瀬集落内の42隻の船と所有者についてまとめられ、うち10隻が廻船として列挙されている。

 「北前船寄港地・船主集落」は、北前船が行き来した日本海、瀬戸内海沿岸の寄港地に残る商家や船主の屋敷をはじめとする幅広い文化財群。美浜町は昨年6月、県内で5市町目の認定自治体となった。構成文化財は17件。

 同館は毎週月曜(祝日は開館)と祝日の翌日が休館。入場料は一般100円、小中学生50円。

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