福井県敦賀市疋田に同市初となるジビエ処理加工施設が完成し2月3日、稼働した。市有害駆除隊員で猟友会敦賀支部の宮迫さんが「つぬがじびえ合同会社」を創業。猟師仲間や自分が獣害駆除したシカなどの有効活用に向けて、肉を加工処理し個人や飲食店などに販売する。
宮迫さんは猟友会敦賀支部のジビエ部として活動。敦賀市によると、市内では田畑を荒らすシカはここ3年間は年間約1800頭が駆除され、埋設や焼却処分されている。宮迫さんはこの現状を残念に思い、創業への気持ちが高まっていったという。
施設は木造平屋の47・8平方メートル。市ジビエ振興協議会を通して農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金や県、市の補助金計約1450万円を活用したほか、日本政策金融公庫からも融資を受けた。
施設には、肉質を軟らかくするため硬直をほぐす冷蔵室、肉を解体する部屋、冷凍室などを設けた。鮮度を保つため真空パック機や液体式の急速冷凍機も設置した。
肉は飲食店向けほか、施設に来てもらえれば個人の購入にも応じる。肉を無駄なく活用するためにソーセージの加工品や、ドッグフードのジャーキー用肉などに卸すことも検討しているという。
宮迫さんは父の知人が狩猟をしていて、子どものころからおいしいジビエを食べてきた。稼働を控え「獲物は猟師さんのところまで冷凍車で取りに行き、瞬間冷凍でおいしさを閉じ込める。衛生的に処理して、肉をごちそうに変え、皆さんの口に運んでもらえるようにしたい」と話している。
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