ナチス・ドイツ軍の占領に対して市民が立ち上がった「ワルシャワ蜂起」の歴史を紹介する企画展=敦賀市の「人道の港敦賀ムゼウム」

 第2次世界大戦下のポーランド・ワルシャワの惨禍と復興を伝える企画展「ワルシャワ。灰の中から甦(よみがえ)る不死鳥」が福井県敦賀市の資料館「人道の港 敦賀ムゼウム」で開かれている。ナチスドイツからの解放を期した民衆の決起、市街戦で壊滅し、がれきと化した光景、廃虚から立ち上がった再建の歩みを時系列で回顧している。来年2月24日まで。

 ワルシャワ蜂起は大戦末期の1944年、ワルシャワで市民らが独立を取り戻すためナチス・ドイツの占領に対抗して起こした。ドイツ軍によって63日で鎮圧され、約15万人の市民、約1万8千人の兵士が犠牲になった。

 企画展は、ポーランドののワルシャワ蜂起博物館が主催し、広島や大阪、札幌の各市で開いてきた巡回展の一環。1920年代、ロシア革命に伴う動乱でシベリアに取り残されたポーランド人孤児を敦賀港で受け入れた歴史を縁に「ムゼウム」での展示が実現した。

 蜂起博物館が巡回展のため日本語と英語を併記して制作したパネルを展示。蜂起兵の晴れやかな表情や市中心部での戦いの様子を捉えた写真のほか、蜂起兵が着用した紅白の腕章などを紹介している。超高層ビルや文化科学宮殿が建つ今のワルシャワの街並みの写真もあり、「自由を愛する心」が脈々と受け継がれていると記されている。

 20年代に敦賀港に上陸したポーランド孤児の一人、イエジ・ストシャウコフスキ氏が母国に戻った後、蜂起部隊を指揮した史実も紹介している。同氏はワルシャワ蜂起で生き残り、1983年には日本赤十字社大阪府支部を訪れて孤児受け入れに感謝の気持ちを伝えている。

 来年は戦後80年。今も世界ではウクライナやパレスチナ自治区ガザで戦火が絶えない。ムゼウムの担当者は「いま一度、過去を振り返り、戦争の悲惨さを忘れず、平和の尊さについて考える機会になれば。後世に語り継いでいくためにも特に若い人にぜひ見てほしい」と話している。

 企画展の関連イベントとして今月23、24日、日本とポーランドの歴史的関係を描いたドキュメンタリー映画「遥(はる)かなる日本へ」の上映会が開かれる。両日は「関西文化の日」事業で入館無料。

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