• 全国から61人が参加し芸を競った第1回「ちりとてちん杯ふくい女性落語大会」=2008年
  • 露の紫さん
  • 林家つる子さん
  • 「ちりとてちん杯は、プロを目指す若手の登竜門になっている」と語る演芸情報誌編集長の日髙美恵さん=大阪市内
全国から61人が参加し芸を競った第1回「ちりとてちん杯ふくい女性落語大会」=2008年
全国から61人が参加し芸を競った第1回「ちりとてちん杯ふくい女性落語大会」=2008年

 福井県小浜市出身の女性落語家を主人公にしたNHK連続ドラマ「ちりとてちん」をきっかけにスタートした第16回ちりとてちん杯全国女性落語大会が9月28、29日に同市文化会館とまちの駅・旭座で開かれる。この大会の出場者からは3人のプロが誕生し、いずれも実力派として注目を集める。長く審査員を務める一人は「女性落語家への登竜門としてしっかり認知されている」と話し、大会のレベルの高さに太鼓判を押す。

 第1回は2008年、県が開催。現在は市民有志による実行委員会が主催する。

 プロになった3人は、初代優勝者の露の紫さん、2代目優勝者の林家つる子さん、決勝に進出した経験がある桂文りんさん。

露の紫さん
林家つる子さん

 紫さんは08年に露の都さんに入門、NHK新人演芸大賞落語部門、NHK新人落語大賞の決勝に計4回進出した実力派。つる子さんは10年に林家正蔵さんに弟子入り、今年3月に落語協会の先輩12人を抜き真打ち昇進した。文りんさんは21年に桂文枝さんに入門、得意の英語を生かした「バイリンガル落語」で注目される。

 上方の演芸情報誌「よせぴっ」編集長で、ちりとてちん杯第7回大会から審査員を務めている日髙美恵さん(大阪市)によれば、落語家を目指す女性がここ5年でぐんと増えているという。大きな理由として、東西2人の女性落語家、桂二葉さんと蝶花楼桃花さんの活躍を挙げる。

「ちりとてちん杯は、プロを目指す若手の登竜門になっている」と語る演芸情報誌編集長の日髙美恵さん=大阪市内

 二葉さんは21年のNHK新人落語大賞で満点を獲得し、女性初となる大賞を受賞した。桃花さんは22年に演芸番組「笑点」の大喜利に女性落語家で初めて出演を果たすなど、女性落語家の認知度を高めた。

 ちりとてちん杯には、ベテラン勢に混じって、プロを目指す落語研究会(落研)の大学生の参加も増えている。今大会の予選会に出場する約100人のうち4割が大学生で人数はこれまでで最も多い。

 日髙さんは「毎年参加する学生もおり、“推し”の学生の成長を温かく見守るのも楽しい」と見る側への提案もしている。

露の紫さん「優勝で調子に乗ってプロの道に(笑)」

 ちりとてちん杯初代チャンピオンで、その後プロとして活躍中の上方落語家露の紫さんは当初、落語家になるつもりはなく、受講した落語講座の腕試しで出場したという。「優勝できたので調子に乗ってプロの道に入った(笑)。背中を押してくれた大会」と振り返る。

 女性落語家の草分け的存在で、今年芸歴50周年を迎えた露の都さんの下で芸を磨いてきた。女性落語家の落語について「『華やかで楽しい』といったお客さんのお声も頂く。女性ならではの視点やパワーが加わる点を魅力に思ってもらえる」と語った。(前田)

第16回大会は9月29日決勝

 第16回ちりとてちん杯全国女性落語大会は28日に予選会、29日に決勝大会が小浜市で開かれる。ともに入場無料。予選(正午~午後5時)は小浜市文化会館内に設けた3会場で行う。決勝(午後1~4時)はまちの駅・旭座で、予選を通過した6人が挑む。問い合わせは大会事務局=電話0770(53)9700。

 前夜祭として27日は、大会審査員4人らによる落語会(午後7時~)がまちの駅・旭座で開かれる。一般2千円、学生千円(未就学児入場不可)。問い合わせはメガネの正視堂=電話0770(53)0878。(前田)

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