• 1996年に再現された下向の旅で琵琶湖を舟で進む参加者=滋賀県(越前市提供
  • 1996年に再現された下向の旅で行われた「境迎の儀」=旧今庄町の湯尾峠(越前市提供)
1996年に再現された下向の旅で琵琶湖を舟で進む参加者=滋賀県(越前市提供

 平安時代に紫式部が京の都から越前国に赴いた下向の旅を福井県越前市などが再現する行事「紫式部の旅」の概要が固まった。日程は10月18~20日の3日間。京都府宇治市、大津市、敦賀市、南越前町、越前市の5市町6カ所で、平安衣装の国司行列や儀式を繰り広げる。紫式部や父藤原為時、侍女ら従者にふんする総勢114人の参加者を全国から募集している。

 紫式部は996年、国司の為時とともに越前国に移り住んだ。琵琶湖を舟で北上し、峠を越える道のりをたどったとされ、NHK大河ドラマ「光る君へ」でも描かれた。式部への注目を地元の認知度向上につなげようと、市や県などの紫式部プロジェクト推進協議会が専門家の時代考証も踏まえて再現事業を企画した。

 18日は、源氏物語の「宇治十帖(じょう)」の舞台となった宇治市の宇治上神社での「出立の儀」を皮切りに、式部が源氏物語を起筆したとされる大津市の石山寺を参詣、同市の琵琶湖畔で「船出の儀」を行う。

 19日は、敦賀市の気比神宮で役人が新しい国司を迎える「境迎(さかむかえ)の儀」があり、北陸道沿いにある南越前町の鹿蒜神社を参詣する。国司一行の衣装を着た参加者が各市町で数百メートルずつの行列を繰り広げる。

 20日は、越前市の総社大神宮から市役所庁舎前広場まで行列が練り歩き、同広場で越前国司の「着任の儀」を執り行う。行列とともに、平安時代をテーマにした市民パレード、伝統工芸などのブース出展を予定している。

 参加者は宇治市、大津市、福井県内の3区分(県内分は19日または20日の1日単位も可)でそれぞれ40人前後を募る。紫式部役などの希望を受け付け、多数の場合は志望動機などを加味して選考する。儀式で台詞がある役柄があり、リハーサルも行う。

 開催に合わせ、全国から歴史ファンらを招く見学ツアーを開く。観光や宿泊をセットにした行程も設け、各日100人規模の参加を想定している。

 下向の旅の再現は、式部来遊から千年後の1996年にも旧武生市の記念事業として実施された。協議会事務局の越前市ブランド戦略課は「紫式部の旅を全国の人に実体験で感じてもらい、また次の四半世紀に語り継がれる事業にしたい」としている。

 行列参加の申し込みは専用フォームで受け付ける。8月20日締め切り。問い合わせは同協議会=電話0778(22)3016。

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