福井県高浜町塩土の男性漁師が漁師小屋群などが並ぶ一角に、自宅を改修した「しおど漁村水族館」を開設した。高浜漁港で水揚げされたサメやエビなど約10匹が入った水槽は、路上から観賞でき歩行者の目を引いている。男性は「集落内に水槽を増やし、歩いて楽しめるエリアにしていきたい」と話している。
水槽を設置したのはまちづくりグループ「高浜明日研究所(明日研)」メンバーの藤本さん。塩土一帯には、若狭高浜漁協やシーフードマーケット「UMIKARA(うみから)」のそばに45軒の漁師小屋が立ち並び独特の風情がある。明日研では地域住民や観光ニーズに合ったエリアにしようと、漁師小屋の空き家を改修した無人釣り具屋「えびたいしょう」を4月に開設している。
藤本さんは“漁村”内に水槽を点在させ、エリア全体を水族館にしようと企画。4月中旬ごろ、外から見えるように自宅窓を取り外し、枠内に縦1メートル、横1・8メートルの水槽を設置した。
同漁協組合員として毎朝、大型定置網船に乗船する傍ら、値段がつかない珍しい魚介類を持ち帰って水槽に入れている。別の漁師から譲り受けることもあるという。定置網には多様な魚が入り、時期によって魚種も変化するため適宜、展示する内容を入れ替えていく。
展示水槽の魚は一風変わったものが多い。「泳ぐサメが身近で見られるのは珍しい」と幅広い層から人気を集める体長60センチほどのホシザメのほか、電気を発するシビレエイ、ウチワエビなど個性あふれる魚種ばかりとなっている。
藤本さんは「高浜ではどんな魚がとれるのか、水槽があちこちに置かれた漁村を歩いて楽しみつつ、紹介する場になれば」と話した。
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