• 「疋田石」を積み上げた石垣
  • バス乗車場などを覆うキャノピー。天窓が大きく明るい
  • 16日に供用開始される敦賀駅東口駅前広場=29日
「疋田石」を積み上げた石垣

 福井県敦賀市が北陸新幹線敦賀開業に向けて整備している敦賀駅東口駅前広場が3月16日に供用開始する。嶺南全域などへの広域観光の出発点として大型観光バス発着場所を備え、主に新幹線や特急利用者を対象にした駐車場もある。“敦賀要塞(ようさい)”とも呼ばれる巨大な駅舎や、2015年供用開始の西口駅前広場と調和したデザインや色合いになっている。

 敦賀駅東口は通称「やまなみ口」。中心市街地など市の玄関口として位置付ける西口「まちなみ口」に対し、国道8号バイパスや北陸自動車道へのアクセスが良く、嶺南各市町や滋賀県北部などへの広域観光の出発点としての役割を担う。このため、大型観光バスの乗降場所や待機場を11台分を確保。タクシーや駅利用者の送迎用乗降場所もあり、キャノピー(ひさし)で覆われている。

 124台の駐車場も整備され、出張や旅行などで新幹線、特急を利用する人向けに駐車料金は24時間上限700円に設定する。

 ロータリーの交通島は“北陸のハワイ”と呼ばれる市内の名所「水島」をイメージ。同市疋田などで産出し、1884(明治17)年に長浜-敦賀間での鉄道開通以降、鉄橋や線路敷などで広く用いられてきた花こう岩「疋田石」の野面積みの石垣も整備した。石垣は高さ70センチ、幅60センチ、長さ53メートルで、現代の名工が営む滋賀県の造園業者が手掛けた。

 木ノ芽川に面しており、市民や観光客の憩いの場として芝生や植樹による緑化空間を設けた。川沿いには散策路もある。

 供用開始となるのはロータリーや乗降場のある駅前広場約5690平方メートル、駐車場約3380平方メートル、緑化空間約1830平方メートルの計1万900平方メートル。新幹線工事の進ちょくに合わせ、昨年2月に本格着工した。総事業費は約23億円。

 北陸新幹線敦賀開業に向けた駅周辺整備は駅交流施設オルパーク(供用開始2014年)、西口駅前広場(同15年)、otta(同22年)などを経て東口駅前広場で完了する。市担当者は「新幹線開業に間に合うよう、関係者が一致団結して整備を進めてきた。西口、東口の役割分担により、敦賀や嶺南地域の発展につながっていくことを願っている」と話した。

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