自らの命と引き換えに年貢の軽減を実現させた江戸時代の新道村(現福井県若狭町新道)の義民、松木庄左衛門の事績を伝える公園がこのほど、同町新道の生家跡地にオープンした。整備した子孫の松木家第16代当主、松木一郎さんは「歴史を実感しながら多くの人が憩える場所になれば」と期待している。
庄左衛門は1625(寛永2)年、庄屋の家に生まれた。現在は同町熊川の松木神社にまつられている。
江戸時代初め、若狭地方の農民は、小浜藩が新しい城を築くための過酷な労働や年貢の引き上げに苦しんでいた。庄左衛門は嘆願団の代表として藩に年貢軽減を要望し続け聞き入れられたが、見せしめとして28歳で処刑された。
松木さんによると、生家跡地には築100年以上の住居と土蔵があり老朽化していた。公園にして住民や全国の歴史愛好家が集える場所にしようと、弟と協力し、建物の解体や木の伐採、整地を行い、今年3月に完成させた。
新道区内の真覚寺から山側へ50メートルほど進んだところにある。松木家庭園(町指定文化財)とヒイラギ(同)があるほか、新たに桜の苗木を30本ほど植栽。ツツジやアジサイ、モミジの苗木も植えた。庄左衛門の事績などを紹介する石碑やベンチも設置した。
誰でも自由に入ることができる。松木さんは「庄左衛門をしのびながらくつろいでほしい」と話していた。
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